2007年02月10日

サッカー五輪代表、選手証言から当時を振り返る

ここ数日、中国サッカー界に続いている激震。昨日、このブログにメディア報道の内容から、私見を書かせていただき、多くの反響を頂いた。私自身も、心情として「まさにその通り」と思うことが多く、またこの事件が国際的に与える影響の大きさも改めて実感した。彼らは少なくとも「国家代表」として公の場に出ているのであって、いくらサッカーの試合、しかもユースの代表とはいえ、彼らの行動により、中国人全体が語られてしまうのはやむをえないと思う。

だが、中国での「生活者」の立場から、そう語りたくない・・というのが私の心情である・・・としか言いようがない。

中国U21代表がヨーロッパ遠征中に起こした「乱闘事件」は私自身の目の前で起きたことでなく、事後の映像と報道だけで判断せざるをえない。だから私自身も取材者としてでなく、一人のサッカーファンとして発言せざるをえない。

2月7日、ヨーロッパ遠征の親善試合の一環として、イングランド2部リーグのクイーンズパークとの試合に臨んだ中国U21代表は、後半30分、両軍入り乱れる乱闘事件を引き起こし、その試合が没収となった。この試合は観客は入らず外に開放された試合ではなかったが、カメラは入っており、映像としては、この乱闘の様子が終始、残っている。

一サッカーファンとして、あえて、この問題の真相、すなわち、一体あのときピッチ上で何があったのか・・ということを知りたいと思う。

もちろん、何度も言うように、試合の場で、しかも公のピッチ上で、暴力を振るうなどもってのほかで、これに対して何ら弁解の余地はない。だが、ここまでに至った理由は必ずあるはずだ。それを知った上で、彼らを批判したい。「一人のサッカー選手」、しかも世界に対して、「国を代表する」選手として、自分をコントロールする力が必要ではなかったか。それもまたサッカーにおける技能の一つであり、そこを育成できなかった中国サッカー全体の欠陥に問題がある・・・私はそうもいえると思う。

2月9日午後、帰国を命じられた7名の選手が北京首都国際空港に到着した。以下は今朝の朝刊(北京新報)、新華社の報道によるものである。

新聞によると、あの「乱闘事件」の発端は、今回帰国した選手の一人、コク(告におおざと)林が、相手選手の粗野な暴言やラフプレーに耐え切れなくなり、自ら「鉄拳」を出したことが発端となったとある。そのコク林も昨日、帰国し、記者団に囲まれたが、彼は一言、「責任は私にある。どのような処罰でも受け入れる」と語ったのみだったという。

さて、別の選手の言葉からも、その真相を探ってみよう。


呂征は、あのときの場面を振り返って、「彼ら(相手選手:クイーンズパークレンジャース)は故意に体を蹴ってきた。(記者に対して)もし誰かが殴りかかってきたら、あなたはどう反応しますか?」と語った。


また楊程は「相手は、試合開始当初からラフプレーが多かった。全て、直接、こちらの体を狙うもので、ボールには全然行ってなかった。おまけに常に、口汚い言葉で我々を罵っていた。試合前、みんなでは言ってたんだ。ピッチでは冷静を保とうと何度も。だから、みんなずっと我慢していた。殴り合いが起きたときも、大部分は止めようとしていた。でも結果的には、止めようとした者も一緒に殴り合いをしてしまった・・・」

もう一人、名前は明かされていないが、控え選手の回想をネット大手の「新浪」が伝えている。

「その時、私はベンチに座っていた。相手の動きが特にラフになってきて、ガオ林(冒頭に出た”発端になった”とされる選手)を挑発した。ガオ林は大声で中国語で『こんなことを続けてたら死人がでるよ』といったが、審判は意味が分かっていないようだった。我々は彼には『相手をケガさせるな。また怒らせるな。』と諌めた。しかし、相手側の背番号6の選手(氏名は不明)が自分のミスで、私たちに同点に追いつかれた。(0-1から中国が後半早々に同点に追いついた)そのためコーチから叱責を受けた。その鬱憤を晴らすために、ますますプレーはラフになり、口も悪くなった。」

またアゴを縫い、歯を折るという大ケガをした鄭濤も、ガオ林が相手選手に囲まれたのを「助けに」いったのをきっかけに暴行を受けたということも証言した。(以上全て新浪ネット引用)

さて、「けんか」の過程を振り返って、どちらが悪かったのかを判断しようとしても、あまり意味がない、というのも確かだ。少なくとも、イギリス側は一つのクラブチームに過ぎず、一方の中国側は、「中国代表」の名前を背負った選手たちであり、いくらラフプレーや口汚い罵りがあったとしても、「それもまたサッカー」ではある。それがどれだけ彼らを傷つけていたかは、我々には分からず、安易には言えないが、やはり『国家代表』であるからには、それをやりすごすだけの能力を身につけていてほしかったとしかいいようがない。

発端となったガオ林ら選手の処分については、今のところ、中国サッカー協会としては、「十分な調査を行ってから、改めて」としている。


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posted by asa8043 |10:31 | サッカー |
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この記事に対するコメント一覧
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Re:サッカー五輪代表、選手証言から当時を振り返る

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選手の証言は大事ですが、
相手チームの言い分も併せてのせないと偏った印象を与えてしまうのでは?

posted by hiko | 2007-02-10 14:14

Re:サッカー五輪代表、選手証言から当時を振り返る

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中国代表がどんな理由をつけても言い訳にしか聞こえませんね。
サッカーで暴言を吐いたり、削ったりは当たり前のことでしょう。
第一、逆に中国の選手達は暴言を吐いてなかったのか。また悪質なファウルはなかったのか。
私はこの試合を見てませんが荒れた試合だったと聞いています。
どっちもどっちだし、国を代表した選手はなお自覚が足りないと思います。

posted by カーペンターズ | 2007-02-10 14:16

Re:サッカー五輪代表、選手証言から当時を振り返る

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不思議なのは、他の国のケースでもそうですが、全く言葉が違うのに「罵られた」ことは分かることですね。
英語が聞き取れるのならしゃべれそうなものですけどもね…。

posted by 審判はどこの方だったのでしょうね | 2007-02-10 16:19

Re:サッカー五輪代表、選手証言から当時を振り返る

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北野武風に言うと

「JAPぐらいわかるよ、この野郎!!」

と同じ感じじゃないですか?

posted by たぶん | 2007-02-10 16:35

Re:サッカー五輪代表、選手証言から当時を振り返る

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あくまで、中国リポートとして、
つまりは、中国・中国人の、こういった問題へのスタンスを
こちらのブログから伺えるのは、ありがたいことです。

今後も中国スポーツや、その周辺の姿を
我々にとっての"代表部"として、
正確に、お伝えいただきたく、お願い致します。

posted by elefanto | 2007-02-10 16:53

Re:サッカー五輪代表、選手証言から当時を振り返る

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喧嘩両成敗という言葉が日本にはありますが、彼らが立て続けにこういう事件を起こしたのは偶然ではないと思います。
少し考えてみたのですが、小さな頃からサッカー選手になるしかないと決められた選手達の心境というのは一体どういうものなのでしょうか?少し彼らのセカンドキャリアに興味が出てきました。その辺も書いてくれたら嬉しいです。抑圧された中からも、美しい物語があることは歴史が証明していますが、もしかすると「サッカー」本来の姿からは、かけ離れているのかもしれません。
日本代表であるオシムはこう言っています。
「サッカーから人生が生まれたのではない、人生からサッカーが生まれたのだ。」そしてこうも続けるのです。
「自分自身は、その逆であったらいいのにと思うこともある。」
僕はこの言葉に、いたく感銘を受けました。言いたいことは伝わったでしょうか?
彼の人生と人格に触れると、この言葉に重みは増してきます。かれはアンビバレントな感情をこの言葉に内包させています。僕はこの言葉を考えることで、この偉大なスポーツの本質を少しのぞく事が出来たと思っています。それは人生についてもです。
話は随分とそれましたが、自分を越えられない者にこのスポーツをする資格は無いのではないか?と考えています。もし僕の想像するとうりに、自分のプライドを傷つけられて殴ったのであれば、それは彼の敗北です。そして僕はそれをプライドとは呼びません。
もしかすると、国民性という言葉で人間をひと括りに扱ってしまう事ほど乱暴なことは無いのかもしれませんが、同じような事が起こりすぎていると感じています。
その背景に感じるのは、いつも一つの彼ら自身の感情です。それは「馬鹿にされるのが我慢できない。」「人の成功は許せない。」「自分が何もかも一番でないと我慢できない。」といった感情を感じています。
それは、サッカーでも人生でもありません。

posted by モ-リー | 2007-02-10 17:53

Re:サッカー五輪代表、選手証言から当時を振り返る

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アジアカップ04の時、決勝戦前に中国代表選手が会見で日本に対し「小日本」という差別用語を使ってたね。

posted by 犬愛 | 2007-02-10 20:53

Re:サッカー五輪代表、選手証言から当時を振り返る

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これ本当かな?すぐ殴るようなやつらが試合中に暴言を慎むわけがないと思う。おそらくいってたんだと思う。第一ピッチ外でも日本のことやらを馬鹿にするし。何回も問題を起こしているやつらの言い分聞いても信用するほうがおかしいよ。

posted by ドログバ | 2007-02-10 21:46

Re:サッカー五輪代表、選手証言から当時を振り返る

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★ http://www.youtube.com/watch?v=MpYUVhvm3TQ

さて、この記事と前の記事を読む限り、Cリーグ(中国プレミアリーグ)に関する記載がないのですが、どんな感じなのでしょう?

私としては、AFCでの中国クラブの試合振りを見る限り、いくつかの条件が重なれば、このようなことは十分ありえる…といった印象を受けます。

その国のサッカーとそれを取り巻く環境についてはその国のトップリーグを観れば、おおよそのことはわかってくるものと考えますが…。

中国の人々にとって野球よりも馴染みの深いだろうサッカーを通して中国を知ることもまた面白いことだろうと思います。

これをきっかけにサッカーでも有益なレポートを期待してます。

posted by kyorecoba | 2007-02-11 01:50

Re:サッカー五輪代表、選手証言から当時を振り返る

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はじめまして、おじゃまします。
今回の件、出来事自体は暴力事件であり、それもその国の「サッカーエリート達が」「強化のための遠征先で」「練習試合で」「三回続けて起こした」という事実を考えると、強く糾弾されるべき重大な事件だと思います。

ただ、一方でこの事件が中国国内で報道され問題として大きく取り上げられている(らしい)という部分について、期待を込めて好意的に受け取っています。
04年のアジア杯でご存知の通り日本チームはグループリーグから決勝までとてつもない罵声や暴言を浴びせられ、日本サポーターは物まで投げられました。決勝後にはほぼ暴徒化し日本はチームもサポーターも安全のため足止めされる自体にまでなりましたよね。
私が問題だと思ったのは中国内ではあの騒動が何もなかったの様な報道のされ方だった(らしい)、ということです。それを聞いた時、「あ、これは日本がサッカーで中国に追いつかれる事は当分無いな」と感じ、少し安心しつつかなり失望しました。同じアジアの国、ライバルとなり戦友となるべき国だと思っていましたので。
サッカージャーナリズムの発達無しにその国のサッカーの真の発展はおそらくありません。
正しい報道や批判があってこそ世論が育ち、選手は賞賛や自省の機会が得られ、未来の選手たちには進むべき道が示されるのですから。

トータルで考えると、この事件は中国サッカーの体質が大きく変わる契機にもできるかもしれません。
ただ帰国後の選手のコメントでは「ただの悲しい出来事」的なニュアンスがあり、うやむやで処理されてしまいそうな雰囲気を感じます。
管理人さん、ぜひ今後の成り行きとこの事件がどう扱われるのかを追いかけてくださいまし。
いや、不躾なお願いで申し訳ないのですけども(汗。
サッカーにしろ他のスポーツにしろ中国から生の声が聞けるというのはなかなか無いので、こちらのブログは非常に興味を持って読ませていただいております。
これからもぜひよろしくお願いします。

posted by tibetan | 2007-02-11 18:04

Re:サッカー五輪代表、選手証言から当時を振り返る

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朝倉さんが中国にいらっしゃるのなら、中国のテレビで放送されたこの試合のニュース映像(乱闘だけではなく、乱闘を引き起こしたこま~かいところも)を観てから判断したほうがいい。

ぼくおかしいと思うのは、なぜ中国サッカー協会は五輪代表にこんなチームと試合させるのか?全然価値がないと思います・・・

posted by カツ | 2007-02-12 16:57

Re:サッカー五輪代表、選手証言から当時を振り返る

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>中国U21代表がヨーロッパ遠征中に起こした
>「乱闘事件」は私自身の目の前で起きたことでなく、
>事後の映像と報道だけで判断せざるをえない。
>だから私自身も取材者としてでなく、
>一人のサッカーファンとして発言せざるをえない。

なるほど一人の"中国代表"サッカーファンだからこのようなエントリを書かれたのですか?
なるほど書き方はマスコミが良くやる印象操作の手法をとっているのは確信しての事ですか?
ここを訪れる人が書き込んでいる方々のように「印象を刷り込まれない」という確証をお持ちなのでしょうか?
”一人のサッカーファン”の立場なら公平に両方の言い訳を聞くべきでしょう、でなければただの中国擁護に過ぎません。
管理人さんはマスコミに勤められていたらしいですが会社の先輩からジャーナリズムは教わらなかったのですか?
だとすれば日本の報道もここに書かれている中国の報道と同レベルのお先真っ暗なものですね。

posted by 観客 | 2007-02-12 21:19