2008年02月05日

明日『大晦日決戦」の中国サッカー代表

旧暦の正月を過ごす中国の今年の“元日”は2月7日。だが、この試合の結果いかんによっては、気分の良くない正月となりそうだ。

「大晦日決戦」と言われるサッカーのイラク戦が2月6日夜9:30(日本時間)にキックオフされる。

2010年南アW杯第3次予選の第1戦。“死の組”とも言われるグループ1(オーストラリア、中国、イラク、カタール)に入った中国にとって、今後の行く末を占う大きな大きな一戦だ。

『大晦日決戦』に向けて、中国国内のサッカー報道も過熱気味だ。大晦日の夜は毎年、CCTV(中国中央テレビ)の「春節晩会」という、歌ありコントありの番組を見るのが中国の人たちの習慣(日本でいえば紅白歌合戦である)。だが今年は、先日の調査によると、この『春節晩会』を見る人と、サッカーを見る人は拮抗し、特に若年層は、半分以上がサッカーを見ると答えている。

このブログ記事でも何度かお伝えしているが、今の中国代表は、ファン達の信頼を裏切り続けている。去年のアジア杯での予選敗退に始まり、練習試合でもいいところがほとんどない。最近の親善試合では、先日のシリア戦で、ようやく“2008年初ゴール”と“久々の勝利”を挙げたものの、これとて、決して満足できる試合ではなかった。

つい先日、「ドゥイコビッチ総監督がベドロビッチ代表監督に代わって指揮を執ることになった」というまことしやかな噂が流れた。確かに、ここ何試合かの親善試合では、戦術がコロコロと変わり、選手起用も一定せず、ファンのみならず、選手の中からも不協和音が聞こえる・・との報道があった。これについては、昨日、「“大晦日決戦”はベドロビッチが指揮する」とチームが声明を出し、正式に否定された。もちろん、この時期にそのような『政権交代』が起きることはありえないとは思っていたが、それほど、代表チームと、それを取り巻くメディアやサッカーファンの心理状態が不安定・・ということだろう。

今の中国代表は決して『やるべきことはやった』という状態ではない。唯一の“良いニュース”は、英プレミアでプレーしている鄭智が昨日、チームに合流したことだ。中盤のどの位置に入るかはまだ分からないが、ボールを『持てる』鄭智が入ることで、攻撃のバリエーションが増えることになる。ここ数試合、単調な攻撃に終始していた中国がこれでどう変わるかは注目だ。鄭智は、プレミアで好調を維持している。問題は、現チームになってから、初めての『合流』であり、わずか1,2日の期間でチームにフィットできるか・・・。

鄭智の加入が『敗因』にも『勝因』にもなりうる、というのが現状だろう。

そして、イラクは強い。2007年アジア杯では、高い身体能力、そして強い精神力で、よく鍛えられたサッカーを披露し、見事優勝した。また何よりも、気持ちの部分で、圧倒的なモチベーションを持っている。それは、アジア杯で優勝したときの彼らの様子、それを迎えた国民のフィーバー振りをみれば分かるだろう。彼らにとって、『サッカーで勝つことの意味』はとてつもなく大きい。『国のために戦う』という考え方は、中国もイラクも同じだが、『背負うもの』の重さが、何だか、全く違うような気がする。

中国代表はすでにディフェンス5枚に1トップ、もしくは2トップで、『守りのサッカー」で臨むという情報が伝わっている。徹底的に守って、引き分けで、というわけだ。

ただ単純に予想しろといわれれば、イラクに分があるとしかいえない。残念ながら、今の中国に、イラクを上回る何かがを見出すことは難しい、というのが正直なところだ。

だが、『チャンピオンは永遠にチャンピオンではない』というのは、今朝の新聞で報道された代表メンバーの一人の言葉。僕は、中国スポーツを追いかけている取材者として、明日の試合では、選手たちに『気迫』を見せてほしいと思う。そういうと何だか薄っぺらな精神論のようだが、ここ何度かの練習試合で、残念ながら、ほとんど、その『気迫』が見えてこないのだ。ゴールに向かっての、勝利に向かっての気迫。これは、単純な精神論ではなく、ゲームを見ていれば、私のような素人でも、明確に感じ取れるものだ。それをイラクは持っているし、中国はその部分で上回らなければ、まともな試合にならないと思う。

はっきりいって、結果は『引き分け』で十分だ。それで、『次』に対する希望は沸いてくるし、むしろ、勝ち点「1」以上の前進があるといえるだろう。だが、明日の試合で必要なのは、その「結果」だけではない。

それは、中国サッカーファンを納得させること。代表チームこそが、中国サッカーの頂点にあることを全てのサッカーファンが感じ取れるようなゲームをすることだと思う。

それには、使い古された言い方だが、「気持ちの部分で負けない」ことしかない。そして、それがピッチ上で『表現』されなければならない。その『表現』が出来るのが、プロであり、代表チームだと思う。

中国代表の「大晦日決戦」・・・非常に楽しみだ。

posted by 朝倉浩之 |12:49 | サッカー | トラックバック(0)
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