2007年12月17日

卓球王国のすごさ・・・観客の声援に脱帽

卓球のプレ五輪「プロツアーファイナル」は16日、閉幕。結局、女子ダブルスで韓国ペアが決勝進出したのを除いて、いずれも決勝は中国人同士の対戦となった。男女単複は全て中国勢が優勝した。

女子単は世界ランク4位の李暁霞がザグレブ世界選手権覇者の郭躍をやぶって最終戦を制した。決勝の組み合わせは世界選手権と同じ。その雪辱を果たしたことになる。また男子単の決勝は、世界ランクトップ二人の対戦となり、ランク2位の馬琳が1位の王コウを下して優勝した。唯一、中国人以外が出場した女子複の決勝。郭躍・李暁霞の相手は、1回戦で福原愛のペアを下したキム・キュンア、ポク・ミヨン組(韓国)だ。カットを多用して、中国ペアの力のあるレシーブを交わしながら、接戦に持ち込んだ韓国ペアだが、結局4-2で郭躍・李暁霞が勝利。満員の会場の声援も後押しした。

チケットは、大会2日前までにすでに完売。決勝当日も、無人となって閉鎖された売り場に、チケットを求めてやってくる人が後を立たなかった。

会場は販売されていない席を除いて、ほぼ満員。最終試合の男子シングルスは夜11時を回った。北京の地下鉄・バスはいずれも、この時間は当てにできない。会場の北京大学は北京の北側にあり、決して交通が便利な場所ではないのだが、会場の観客はほとんど席を立つことなく、試合終了まで見守った。



さすがは卓球王国・・・

4つの金メダルを全て総なめ・・・これは最近の国際大会では当然のことであり、むしろ金メダルがとれなければ、翌日の新聞でコテンパンに叩かれてしまう。そんな強烈なプレッシャーの中で戦う選手たちは大変だ。会場に響く「加油(ジアヨウ・がんばれ)」の大声援は、同時に、「国技」に挑む選手たちに対する強いプレッシャーでもある。そして、「卓球王国」ぶりを感じさせるのは、選手の力だけではない。会場の応援も素晴らしい。『観客の観戦マナー』については、私もこのブログ記事を通じて、何度か話題にしたが、事、卓球に関しては「さすが」と脱帽である。

 誰か一人が選手の名前、例えば「王楠」と叫べば、その周囲の人たちが「加油(ジアヨウ・がんばれ)」と続く。それを繰り返す応援なのだが、選手がサーブのために身をすっとかがめた瞬間に、その声が止んで、『息を飲む』音が聞こえる。会場が一瞬、緊張するのだ。全てのスポーツに、この『息を飲む』瞬間があり、これを楽しむことがスポーツ観戦の醍醐味だと思うのだが、一連のプレ五輪シリーズで、この感覚を味わえたのは、今回が最初だ。

 また中国人の観客は、「中国人同士」の対戦における応援の仕方をよく分かっている。卓球ではしばしばそういった場面が見られるからだろう。その局面で、劣勢にある選手の名前を呼び上げ、会場全体がそれに続く。その「選手選び」が実に的確なのだ。だが、あまりに、一人の選手の名前が連呼されすぎると、別の場所から、相手の名前も出てくる。声のかけ方、内容、タイミング・・・いずれも抜群だと感じた。

 歌舞伎などの伝統芸能でも観客のかけ声一つで、その舞台が変わってくるという。また優れたスポーツ文化は観客が育てていくもの・・・というのは、このブログでも何度も触れていることだ。

 試合中、一流のスター達の名を呼ぶ子供たちのかけ声が何度も上がった。世界トップレベルの選手が自分と同じ中国人であることを誇りに思い、憧れの気持ちを持つ子供達は多いだろう。

 女子シングルスの決勝は、郭躍と李暁霞・・・いずれも20歳に満たない選手だ。かつての女王、王楠・・そして世界トップを走り続ける張イ寧も、観客席でその試合を傍観していた。中国では、トップ選手が世界一を守り続けるだけでなく、後から次々と、若い選手が登場してきて、新陳代謝が起こる。そのスピードが異常に早い。

 中国のスポーツ選手といえば、国家が育てる「ステートアマ」のイメージが強いが、本当の「王国」は、それだけで作り上げられるものではない。その“幹”になる部分は、選手、観客、そして未来を担う子供たちが一体となって、作り上げている・・そんな気がした。

posted by 朝倉浩之 |16:59 | 卓球 | トラックバック(0)
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