2007年10月17日
プレ五輪、観客マナーと交通に疑問・・・進化を続ける運営面
8月から、北京で開催中のプレ五輪シリーズ「グッドラック北京」は、今月14日、テニスとバドミントンの決勝戦を行い、10月分の大会は無事終了した。テニスは、これにあわせてユースの大会が行われており、こちらは20日までだが、とりあえず、国際規模の大会としては、ひと段落となる。 さて、北京五輪に向け、運営面、会場面でのテストを行うというのが今大会の目的であるが、この2大会とも、前のプレ五輪シリーズと同様、運営、施設とも本大会と見紛うほどの仕上がりだったと思う。 テニス場でいえば、スタジアムの外の敷地に関しては、まだ植樹の最中であったり、ブロックが積まれていなかったりと、「建設段階」であることがありありと分かる状況だったが、一歩、スタジアムの中に入ると、すでに来年の五輪の状況が目に浮かぶほど、完成された施設であった。また運営面でも、試合時間やコートの配分がおおむね予定通りに進んでおり、これまでの中国開催の国際大会では考えられないほど、しっかりとした運営がなされているといえそうだ。 やや内輪の話となるが、我々報道陣に対するサービスでも、より洗練されてきたように思う。今月の大会で、大きな変化の一つは携帯電話による情報提供だ。これは8月の段階から、何度か行われていたが、今回は記者会見の予定など、必要な情報をかなりきめ細かく提供していた。恐らく、来年の北京五輪では、これまでの中国での取材等で、最も戸惑う点が「情報の不確かさ」「情報提供の不統一」だっただけに、今回は非常に安心して、取材を行えた。 ただ今大会、運営を担うボランティアの「パワーダウン」は少し感じられた。8月、9月の彼らの働きがあまりにも素晴らしかったため、余計にそう感じられるのだが、プレ五輪シリーズが始まった当初の「あいさつ」や「笑顔」、そして細かい気配りが少なくなったような気がする。当初、我々報道陣に対しても、大会資料を駆け足しで配ってくれたり、少しおせっかいなほど、「御用聞き」にきてくれたりと、元気でやる気いっぱいの様子が伝わってきたのだが、今月の大会では、試合中、会場内で私語をしたり、何だか魂の抜けたような表情で、会場に突っ立っているボランティアなどを度々見かけた。当初の様子からして、「息切れ」しそうだとは思っていたが、その息切れが今月、やってきたのだろうか。仕事に対する慣れも生まれてきたのかもしれない。8月ごろ、会場の運営スタッフを包んでいた緊張感のようなものが薄れてきたような気がする。(これはあくまで感覚でしかないが・・)彼らは大会運営を成功させるキーポイントであると同時に、世界からやってくる観客や報道陣の向けての「顔」となる。本番大会はもちろんだが、プレ五輪でも、ぜひ大会当初の「気持ちのいい働き」を見せて欲しいと思った。 また、以前のブログ記事でも触れたが、観客の「観戦マナー」については大きな疑問を感じた。私は、スポーツとはプレイする側にも高いパフォーマンスが求められるのはもちろんだが、見る側にも、高い要求がなされて当然だと考えている。「お金を払ってみているのだから」などという論理が成り立たないことは、スポーツを愛する人にとっては自明の理だ。今回、特にマナーにうるさいテニスが開催されたこともあるのだが、ゲームが始まっても、立ち上がってうろうろする人たちや、大声で雑談する人、携帯電話の大きな呼び鈴を会場に響き渡らせる人などが見られた。会場の騒がしい雰囲気のため、何度もゲームがストップし、アナウンスも行われたが、それでも止まず、やむをえず、選手が“騒音の中で”プレーを再開する、というシーンも何度か見られた。日本の選手も、試合後の記者会見で「中国の観客の皆さんにはマナーをまず学んで!」と訴えていたから、選手側としても相当やりにくかったのだろう。 ただ同時期に行われていたバドミントンで、観戦マナーの悪さはそれほど感じなかった。もちろん、競技の特性もあるだろうが、そういったマナーの悪さは、必ずしも「中国人の国民性」に求められるわけではないのだと思う。市民にその競技がどれだけ浸透しているか、という「観客の成熟度」にもよるのかもしれないと感じた。テニスが国民の関心を集めるスポーツとなって、まだ10年と経っていないわけだから。オリンピックに向け、というより「オリンピック後」に向けて、スポーツを見る側がより成熟することが求められる。観客の「試合中の移動」には疑問を感じた・・・
また交通面でも問題点を感じた。今回の「グッドラック北京」は競技場の運営などのテストももちろんだが、同時に交通面についても、試験が行われている。プレ五輪が行われている会場とは、最寄りの地下鉄駅などから、「グッドラック北京 専用線」と呼ばれるバス路線が走っており、早朝から、試合終了後まで、5分~10分刻みでバスが運行している。私は、よほど時間が迫っている場合を除いて、全て公共交通機関で移動することにしているから、このバスに乗る機会が度々あった。テニス会場へは、このほど開通した「地下鉄5号線」の駅から。バドミントン会場へは、北京のビジネス街として知られる「国貿」の地下鉄駅から、それぞれ路線が運行されているのだが、実際、その運行間隔は、予定されている5分~10分間隔ではなかった。状況によっては、30分以上待って、ようやくバスが来るということもあった。また、大会中の出来事なのだが、テニス会場でずらりと待機している「帰り」のバスがいずれも、運転手がいるにもかかわらず、「いつ出るのか」と聞いても、「発車しない」の一点張り。そして、何人かの乗客が抗議をして、ようやく一台が発車することになった。運転手に問いただすと、「客が少ないから運行しない」というのだが、これでは「看板に偽りあり」である。運転手に「抗議」する乗客
実は、今のところ、まだPR不足のため、このバスを利用して、会場へ向かう人が非常に少ない。プレ五輪が始まった当初はそれでも、乗客がほとんどいないバスが空のまま、街を運行している様子が良く見られたのだが、それでは「張り合いがない」のは確かだ。だが、今回はあくまでもテストであり、来年の五輪を見据え、全く同様の形で、公共交通システムを運用しなければ、シミュレーションとなり得ない。「客がいないから運行しない」というのは、ある意味、中国らしい“合理的”な判断だが、それでは意味がない。次回の大会からは、ぜひ改善してほしいと感じた。 来月のプレ五輪は、柔道、武術、体操、ボクシングなどが予定されている。特に中国で根強い人気のある体操は、今回のバドミントンと同じく、多くの観客をあつめるだろう。プレ五輪によって、少しずつ、北京のオリンピックムードは高まり、競技場やスタッフは進化を続け、また問題点が生まれてきている。それを間近に見ることが、今、この時期に北京にいる醍醐味だとが思っている。今後も、プレ五輪に関する情報を逐次、お伝えしていきたい。人気競技、バドミントンは連日大勢の観客が熱戦を見守った
posted by asa8043 |15:53 |
プレ五輪 |
トラックバック(0)




