2007年09月17日

プレ五輪「ゴールボール」で得たもの・・・

北京で行われていた視覚障害者のスポーツ、「静寂の球技」ゴールボールの国際試合が16日、閉幕した。パラリンピックのプレ大会として位置づけられたこの大会で、地元中国が強豪を相手に、大方の予想を覆して、優勝を果たした。

強豪スウェーデンとの対戦となった決勝。「数千人の観客(主催者)」が見守る中、前半まで2-2の互角。しかし、後半からは、地元ならではの大声援に後押しされた中国勢が勢いをつけ、3-3の同点から、立て続けに5ゴールを上げ、結局8-3で優勝候補を圧倒して、ゲームを終えた。中国のこれまでの最高成績は去年の世界選手権での11位だから、地元開催の優位性があるとはいえ、大健闘といえるだろう。

主力の張泳期選手は試合後、「この金メダルの意味合いは大きい。これをきっかけに、中国のゴールボールがより発展し、また多くの人たちに知られることになると思う」と語った。

さて、このゴールボールが行われた北京理工大学の体育館。大学の体育館とはいえ、パラリンピックのゴールボール会場、そして北京五輪のバレーボール会場となることから、根本的な改築が行われ、国際級の体育館に生まれ変わった。またパラリンピックに備え、建物内の随所にバリアフリーが施され、ハンディキャップを持った方々でも気軽に観戦出来るよう、さまざまな配慮がなされている。

だが、ハードは出来上がっても、ソフト面が重要だ。私が今回、この会場を訪れて感じたのは、運営ボランティアを務める北京理工大学の学生さんについて、「よくここまで鍛え上げたなあ」ということだった。

大会前、福祉施設の専門家を招聘し、会場ボランティアを務める学生全員に対して、障害を持った方に対する対処法を徹底して研修したという。また研究所の専門家を招いて、障害者の「心理面」に関する講義も行った。さらに北京の盲学校からも何人かの職員を派遣してもらい、今回に備えたという。

日本代表の中村選手は、試合後、「こんな素晴らしい施設でゴールボールができることを幸せに思う」と率直に気持ちを語った。これはおそらくお世辞ではないだろう。日本には、これだけ整った「ゴールボール場」はないだろうし、来年、パラリンピックがあるからこそ・・・である。来年、男子チームは五輪出場を果たせなかったが、この素晴らしい環境でプレーできたことは、今後のゴールボールの発展にとって、大きな意味を持つに違いない。

また中村選手は、ボランティアスタッフの情熱が伝わってきた・・・と運営を評した。おそらく不備な点もあっただろう。研修を受けたとはいえ、素人の大学生である。決して全てがうまくいくとは思えない。だが、中村選手は「この大会に向けて、懸命に準備を続けてきてくれたことが良く伝わってくる」という。北京パラリンピックに向けた準備はこれからまだまだ続くが、まずは、この「気持ち」が伝わったこと・・・これがひとまず、今大会の大きな、そして重要な成果といえよう。

  • 共通ジャンル:

posted by 朝倉浩之 |13:09 | パラリンピック種目 |
このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加