2007年08月29日
世界陸上、不調の中国 ”変われるか”?
大阪で行われている世界陸上で28日夜行われた女子400m障害・準決勝で、中国の黄瀟瀟が自己ベストの54秒00を出し、決勝進出を果たした。今年4ヶ月に渡って、アメリカでトレーニングをし、満を持して臨んだ今大会。目標の決勝入りは果たしたので、次の目標は同じ中国勢の韓青が1993年に出したアジア記録53秒96を破ることとなる。決勝は明日夜、行われる。 ただ、中国トラック勢の決勝入りはこの黄瀟瀟が最初。今大会には、かつて「馬軍団」が陸上界を席巻したころの中国勢の面影はない。110m障害の劉翔のメダル獲得は順当にいけば間違いないが、それが『唯一』のメダルとなる可能性は強い。 陸上トラックの不振といえば、ホスト国の日本も深刻だが、中国でも大きな問題となっている。 短距離種目の世界的優勢は劉翔の110m障害が最初であり、それほど歴史はないが、中長距離については、中国はかつて絶対的な強さを誇っていた。 「馬軍団」の一員として、10000mで29分31秒78という驚異的な世界記録を作った王軍霞。(ちなみに今大会同種目の優勝タイムは31分55秒41)2004年アテネ五輪で、同じく10000mで優勝を果たしたケイ彗娜。そして2002年プサンアジア大会の5000mと10000mで金メダルを獲得した孫英杰(ドーピング検査陽性のため今年10月20日までレース禁止)と中国の陸上界は、時代を追って、次々と傑出した人材を生み出してきた。だが、体育総局陸上センターの胡新民主任は「それ以降、彼女らを引き継ぐ存在が出ていない」と嘆く。 「このままでは来年の五輪で陸上は110m障害の劉翔だけになってしまう」 これはオリンピックを迎える上で、今の中国陸上の、いや中国スポーツ界の最大の心配事といってもよい。 ちなみに、もし本調子ならばメダルも期待できるタイムが出せる孫英杰は出場停止が切れる翌日(10月21日)が北京国際マラソンで、それに向けて、トレーニングは続けている。ただ、本人も「絶不調」というように、決して状態は良くなく、中国にとって、計算の出来る存在ではない。 またアテネの金メダリスト、邢彗娜もひざの故障を抱えており、とても3年前と同じレースは期待できない。 ある専門家は中国の中長距離界が隆盛を誇った理由を「スパルタの指導者、極限の練習量、家族的な管理」にあるとしている。だが、一人っ子政策の下で育った『現代っ子』には、この方法は通用しない。 低迷する中国陸上をどう立て直すのか。かつての『スパルタ』でならした『馬軍団』のやり方がもう通用しないとすれば、どんな方法を取ればいいというのか・・・。 オリンピックまではもう1年を切った。正直、今から劇的な施策があるとは思えず、現有戦力のレベルアップを図るしか方法はない。だが、すでにかつてのやり方が通用しない以上、中国スポーツもまた変わるべきときがきているに違いない。次の、また次の世代の中国陸上のために、その『新たな』育成法を見つけ出す必要がある。この世界陸上での“不調”がその転換点となるならば、それはそれで収穫だ。
posted by 朝倉浩之 |22:24 |
陸上 |
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