2007年05月24日
前回の補足です。
かのノーラン・ライアンをコーチしたトム・ハウスのお話しをしたと思います。彼のピッチングに対する考え方の一端は、投手がマウンドという小山から投げおろすということに現れています。すなわち、図のような(あまり巧く描かれておらずすみません)高さhから投げおろすエネルギー(位置エネルギー=mgh;m:質量、g:重力加速度、h:高さ)を利用するということです。
さらに、左足(右投手の場合)が接地(地面に接する)してから重心がその足側へ移動する間に運動エネルギー(1/2・mv2)(m:質量、v:運動速度)が働き、最終的にボールにそのエネルギーが移行することで、ボールが遠くに速く飛んでいくということです。おそらく・・・
その時左足接地からボールリリースまで左の股関節が荷重を安定支持できないと、先週話したようなコントロールミスやボールへのエネルギー伝達のロスが生じるだろうと予想されます。それ故、股関節と重心の位置する体幹部が重要だということは以前から何回か述べている通りです。
また、ライアンは左足を非常に高く上げることが特徴であると先週これまた述べましたが、その理由として高く上げた足をより遠くに着地して、位置エネルギーを利用する+ボールリリースの位置をよりホームベースに近いところへ持っていく、という目的が果たせるのではないかと推察します。しかし、これを果たすためには、股関節の柔軟な可動性と強靱な支持機構としての役割が必要となります。それを満たすためのトレーニングをしっかりと行っていたことについては、先週述べました。
そこで、いきなりロケッツ(通称)復活!!です。そうです、あのロジャー・クレメンスがとうとうヤンキースに戻って現役を続けることになりました。そして、新聞のコメントにこう書いてありました「股関節と体幹を気にして(調整して)いる」と。さすがは一流投手、良く分かっていると思いながらも、本当は股関節と体幹の『何を』気にしているのか?まで答えを引き出さなければなりません。ジャーナリズムの責任も重大です。
兎にも角にもロケッツ復活に期待しましょう。
posted by 朝野裕一 |19:09 |
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2007年05月15日
少し間が空きましたが、運動科楽の眼の今回は再び投球に関係するものです。先日NHK-BSの「スポーツ大陸」でMLBが生んだ、最高のピッチャーの一人であるノーラン・ライアンを特集していました。
元々野球関係の方で知らない人はいない「ノーラン・ライアンのピッチャーズ・バイブル」というトム・ハウスとの共著本でも有名な投手です。この本は発表当時画期的な内容で(現在では当然といわれている内容でも、当時は非常識と思われていたらしい)、かの松坂大輔投手も高校時代むさぼるように読んでいたそうです。
さて、このノーラン・ライアン、改めて画面で投球を見ましたが、腕の振りが速くて速くて・・・いつの間にかボールはキャッチャー・ミットの手前まで来ているといった感じの、凄まじい速さのボールを見てしまった(初めて見たわけはありませんが久しぶりに見たので改めて)!!!これ以上の感想はありません。
しかし、彼もニューヨーク・メッツ時代はコントロールが悪すぎて、エンジェルスにトレードされたくらい期待されていなかった投手だと初めて知りました。しかしそこから、下半身のウェイトトレーニングと投球フォームの修正などを行う過程で、通算27年間で7度のノーヒット・ノーランを成し遂げ、通算5,714もの三振を取る投手へと変貌していったのです。
今回話題にしたいのは、このコントロールの悪い時期と修正された時期の投げ方の特徴を比較した部分の説明です。番組では、左軸足側に体重が流れていって右足が一塁側へ回転していってしまうことが、原因と説明されていました。確かに、メッツ時代の投げ方は投げ終わった後に右足が一塁側に回って、体重も左へシフトしています。それに比較してその後の投球画像では一塁側への回転のない=左へシフトしていない、とここでは説明している、投げ方をしています。しかし、右足(右投手の場合)が投球後に一塁側へ回転していく投げ方をする投手は結構多く、かの松坂もよくそのような投げ方をしています。
番組が指摘する原因の説明では納得がいきません。事実その後ノーヒット・ノーランを成し遂げた時のノーラン・ライアンの投げ方はさっきまで指摘していたコントロールの悪い時代の投げ方そのものでした。
原因は実は番組後半にトム・ハウスが分析して再び説明している、頚部および体幹の左側への傾斜こそ、その大きな要因だろうと思います(下図:左)。ボール・リリースの手前までは体幹が左へ傾斜しすぎていない時(下図:右)ほどフォァボールが少なかったようです。
これらのことが全ての投手に普遍的なことではないかもしれません。ノーラン・ライアンの投球の特徴は、ワインドアップ時に左足を非常に高く(顔に付くくらいです!)上げ、その左足が着地してから、右の肩外旋時から内旋へそして肘が伸び対角線上の床につくかと思われる振り下ろしフォロースルーまでの一連がとても速く感じます。そしてこの投球後半の支点として左の股関節が重要な役割を果たしていることは想像に難くありません。ですから下半身のウェイト・トレーニングが重要な役割を果たしたのでしょう。また上記、腕の振りの素早さには、ブレーキングとしての肩回りの小さな筋肉が重要な役割を果たすので、そのエクササイズもその後大きく注目されることになりました。さらに食事のバランスなどを含めたコンディショニングについても言及され、バイブルと言われた理由も良く分かります。それまでこの様な本は発表されていなかったということでしょう。共著のトム・ハウスの存在の大きさが伺われます。
結局、46歳まで投げ、最高速度が全盛期は終速(終速ですよ!)162km/h、後年でも150km/h台(これはきっと現在でも計測されている初速でしょう)を出す「超特急」と言われた大投手は、身体のメイテナンスを欠かさずに、常に努力を重ねていたということです。素質と努力できる能力が重なるとこの様な選手が時に(もう出てこないかもしれませんが)世に出てくるんですね。
posted by 朝野裕一 |18:19 |
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2007年05月08日
まず、本望信人選手ごめんなさい!5月3日の健闘を称えます。前回はっきり言って日本人選手にもかかわらず、何のコメントもせずノーマークでした。エドウィン・バレロ選手は、できればお世話になっている国の選手とだけはやりたくないと、試合前に言っていました。そのせいではなく・それとは全然関係なく、早く倒そうとバレロは焦っていました。今まででは、チャンピオンになる試合に次ぐ苦戦だったのではないでしょうか。本望選手は良くバレロのパンチをよけていた方だと思います:それでもかなりの傷を顔に付けられましたが。焦ったバレロは、ガードが下がったまま、パンチを繰り出していました。この戦い方では、マニー・パッキャオにはやられるなぁ、と思いました。もちろん相手によって戦い方は変えてくるでしょうが・・・勝ち目はなかったと思うのですが(本望選手には失礼!)健闘した試合だと思います。傷が広がらなければもっとやれると本人は思っていたのでしょう。試合ストップ後は相当悔しがっていました。今後に期待します!
さてぇ、夢の舞台は終わってしまいました。月曜の再放送時に自分なりの採点してみましたが(結果を知っているというバイアスは避けられませんが)、115-113でメイウェザーの勝ちかなと。でもデラ・ホーヤはベストを尽くしたと思います。メイウェザーにパンチをヒットさせることの難しさを改めて感じました。最近の彼の試合では最も打たれたのではないかと思います。
何と、デラ・ホーヤではなくメイウェザーの方がいち早く引退宣言しちゃいましたねぇ。どうなるか分かりませんが、まだ夢の舞台は続くと思いたいです。シェーン・モズリーとかミゲール・コットとの試合は是非見たいし、アントニオ・マルガリート戦なんかは、ボクシング通が一度見てみたいと思う試合でしょう。どうなるのか2週間は(2週間以内にタイトルをどうするか:スーパー・ウェルター級かウェルター級のどちらを選択するか;どちらのタイトルも持ってしまいましたから;決めなければならないはずなので)様子を見るしかありません。
一方のデラ・ホーヤはまだ引退を明言しませんでした。彼の今回以上のビッグ・マッチはあるのか?疑問ではありますが、これまた彼の意思を聞くまでは、待つしかありませんね。
そして、ひと(他人)の夢にただ乗りばかりもしていられません。各々の人生での夢は、しかるべき舞台を作ることから始め、最終的にその舞台に上がって行動(ボクシングで言えば闘い・戦い)することが、必要です。私も現在、舞台作りに励んでいるところです。5月6日(日本時間で)の大きな夢を見せてくれた両選手並びに関係者に感謝しつつ、さらなる次への夢へ進んでいきましょう!
posted by 朝野裕一 |11:46 |
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2007年05月03日
要点
- オスカー・デラ・ホーヤvs.フロイド・メイウェザー世紀の一戦への期待
- 夢の大きさより実現過程での雑事が大きく表面に出てしまうと、夢自体がしぼむ→夢実現過程の雑事が夢を上回ってしまってはいけない
- 夢の実現化は当然手段を選ぶべき(犯罪的行為は許されません)だが、実現した事柄が多くの夢を与えられるのならば、第三者は過程の事実を事細かに忖度(そんたく)しなくても良い
いよいよオスカー・デラ・ホーヤvs.フロイド・メイウェザーまで後三日となりました。この一戦を迎えるすでに2ヶ月以上前から今日まで、わくわく感がとぎれることなく日々を過ごしてきました。かつてのヘビー級王者マイク・タイソンの試合でもこれ程の期待感はなかったような気がします。あのモハメッド・アリvs.ジョージ・フォアマンの一戦に近い、戦う前の興奮の高まりがあります。
1974年ザイール、キンシャサのこの世紀の一戦は戦前圧倒的にフォアマン有利の論評が多く、とうとうアリもマットに沈むのかという、起こっては欲しくない、でもまず間違いなくやられる、でももしかしたらアリなら奇跡を起こせるのでは?といったような、妙な期待感で一杯の興行でした。結果はご存じの通り、アリのKO勝ちという、キンシャサの奇跡といわれる結果で終わり、アリの名声をより高めることになりました。
デラ・ホーヤvs.メイウェザーも実は大方の予想では、メイウェザー有利となっています。無敗でパウンド・フォー・パウンドの呼び名高きメイウェザーが負ける、ましてマットに沈むことなど予想などできない、ということでしょう。さらに、デラ・ホーヤは約2年ぶりの復帰をつい昨年果たしたばかりで、ブランクがあった、スピードのあるシェーン・モズリーに2連敗しており、スピードスターといわれるメイウェザーにも通用しないのではないか、と考えるのが当然でしょう。私もそう思います。しかし、アリ同様何かをしてくれるのではないか?いう期待感では一番のデラ・ホーヤのことですから、大方の予想に反し勝利を期待してしまいます。この一戦を最後に引退を考えているそうで、最後の彼の戦いをとにかく見極めようと思っています。
以前書いたように、デラ・ホーヤはビジネスマンとしてもなかなかのやり手で、この世紀の一戦自体も彼の興行になっています。ファイトマネーはデラ・ホーヤ30億円!メイウェザー12億円!だそうです。夢を与えるという意味で、どんな裏の世界があっても、クリーンに見せる姿勢にだまされても良いかな、と思ってしまいます。要はリングでの一戦がどれだけすばらしいファイトか、どれだけすばらしさを期待させるか、がスポーツビジネスの仕掛け屋としての才能だと思うので、それ以外の部分を取りあえずは忖度しないでおきます。もちろん実際の世界を知りたいなと思う気持ちもありますが、いずれ自伝などの書物で紹介されるのではないでしょうか。これも期待しています。
その前に今日は世界トリプルタイトルマッチが日本で行われます。長谷川穂積、エドウィン・バレロ、名城信男の3人に期待しましょう。特にバレロは無敗の、このクラス(スーパー・フェザー級:マニー・パッキャオ、マルコ・アントニオ・バレラ、バレラについ先日勝ってチャンピオンになったファン・マヌエル・マルケスなど強くて人気のある選手の多いクラス)のスーパー・スターの一人で、日本のジムに移籍して試合をしています。皆さんもこれをまず見て日曜日に向けて気分を高めていきましょう!
日本でも最近この様な工夫をしたボクシング興行が多くなり、良いことだと思っています。亀田親子だけに頼らずにどんどん夢のある興行を打ち出していって欲しいと思います。
※ 亀田親子の貢献度(日本ボクシング界の活性化に与えた)はもちろん一定の評価ができますが、先日亀田父が日本プロボクシング協会から正式に注意された様に、行儀が悪すぎて、昔からのボクシングファンにはどうにも素直に受け入れがたいものがあります。この行儀の悪さを売りにするマスコミも本人たちも、もっと高き志を素直に表現して欲しいなと強く思います。
日本の格闘技界は昨年のPRIDEに代表される、黒い疑惑がちらちら見えてしまい、とても残念です。当然アメリカの興行界ではもっと汚いことが行われているのかもしれません。しかし、先程も述べたようにリングの上での選手たちの戦いに最終的に焦点が絞られていくような仕掛け、これこそがファンの期待を継続させる手段ではないでしょうか。夢の実現化こそが一つの大きな目的であって欲しい、その過程での様々な物語はサイドストーリーとして別個に楽しみたい、一ボクシング、格闘技、スポーツファンの正直な気持ちです。3日後、デラ・ホーヤの作った舞台で夢を体験しましょう!!
posted by 朝野裕一 |17:20 |
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