2006年12月30日
今年も残すところ、あと一日半ですが、慌ただしいこの時期は嫌いです。空白の一日でもあるのならば別ですが、引き続き1月1日は訪れ、ついこの間忘年会といっていたのに、一週後にはもう新年会です。年を取ると年単位での区切り以上に何年間単位かで物事を考えていくことが多くなり、一年ごとに思い出にふけっている時間もないというのが正直なところです。
さて、前回の記事に関しての質問をいただきました。
- 二軸とはどこにあるのか?
- ワンテンポの遅れとは?何に由来するのか?
という内容でした。
これにきっちりお答えするには、実は重心線の床面に落ちる位置(点):重心の鉛直線と床面が交差する点で、Center of Gravity=COGといいます と足に加わる圧力の作用点(足圧中心):足に加わる圧分布を点として示したものでCenter of Puressure=COPといいます→床反力の作用する点でもあります の説明をしなければなりません。
詳しい話は来年早々にしたいと思いますが、イメージだけでも・・・
足に加わる圧の中心部分と重心の落ちる点とは必ずしも一致しないということを憶えておいて頂きたいと思います。
すなわち、足に加わる圧が強くなったからといって、重心がそこに落ちているということには必ずしもならないのです。
前回お話ししたエレベータからドアが開いて降りる時の体の動かし方についてでは、同側の腕と体を同時に前に出す時に反対側の足には当然圧が加わりますが、重心は動かした側に速やかに移動していると考えて下さい。一方、歩行している時のように一側の腕と反対側の体を出す(体を捻っている状態)では、重心が比較的体の中央に近く、そこを中心とした円運動(というのでしょうか?)による体の捻りを使っているので、前述の方法と比べて重心の移動は遅くなる、という訳なのです。
イメージとしては上の図のような感じです。
詳細は(体軸の話を含めて)また来年というか来週お伝えしたいと思います。
では皆様よいお年を!!
posted by 朝野裕一 |15:42 |
動作 |
コメント(0) |
トラックバック(0)
2006年12月26日
随分前の話になりますが、昨年3月に『日本フットボール学会(2nd Congress)』というものに参加してきました。ここで感じたことは、日頃我々理学療法士が考えていることにも当てはまることが多く、大変示唆に富む内容でした。理学療法士の参加が少なかったことは少し残念でしたが・・・スポーツの現場ではすでに多くのことが実践的に語られて、実証への道をたどっているようで、理学療法士としては焦ったのを覚えています。
ここでの講演で、京都大学大学院の小田伸午先生(運動科学関連の多くの著書も書かれています)の話は特に面白かったです。この講演で我々理学療法士も理解してきた内容は主に以下の通りです。
※なお、これらは、科学的・客観的に解析する以前の(解析へつながる)考え方(概念)であることを事前に、ことわっておきます。ーこのブログシリーズの最初に述べた内容と重なる部分があります
- 人の動きは重力を利用して行われる
- 安定には静的安定と動的安定がある
- 動きは安定を崩して行われる→安定を求めすぎると静的安定(止まるということ)になり、効率が悪くなる(動作が遅くなる)
- 重心は(前から見ると)両股関節の間に位置し、その間の移動により動作をスムースにしているのではないか!?→二軸動作(小田氏)
例)歩く・走るの他に、ゴルフのスウィング時にも言われており、そのほか様々なスポーツの重心移動にも応用的に解釈されている
- 体の中心に重心を置いたままでの動作:一軸では体の捻りが生じ、効率が悪い!?→武道の世界で言われている
※今まではこの捻りが自然な動きと言われてきた部分もある
- 素早い動きは、この二軸の切り替えにより達成される
- 筋力だけでは素早く動けない→外力である重力(床反力・慣性力など)を利用して素早く動いている
などです。
素早く動くこととは?→効率がよい、相手に動きを予測させない(武道やフェイント動作を含むスポーツに有効)
これには、前述した股関節の重要性と体幹部の使い方が関与しています
自分が毎日体験している中で考えると(皆さんも実際に行ってみて下さい)
例)エレベータに乗っていて、扉が開いて降りる時に、待っている人がいるので早く降りようとすると、腕と体を一体にして体を捻らずに降りている事に気付くでしょうか?これを普通に歩くように腕と体を左右交互に出していくと、ワンテンポ遅れて降りることになります。皆さんも周りの人に迷惑がかからない範囲でやってみて下さい。これがいわゆる武道的な身のこなし方の1つだと実感できます。
次回もより詳しく体の動かし方についてのお話しをしていきたいと思います。
posted by 朝野裕一 |13:49 |
動作 |
コメント(1) |
トラックバック(0)
2006年12月23日
さて、七回目となった筋力再考シリーズですが、今回は人の動きに伴う筋活動の特徴と、トレーニングに必要な要素を考え直してみたいと思います。
最初に述べたように、人は1Gという重力の元で活動しています。そして、多くは(全てではありませんが)、足を地面等に接触した状態から動き出します。
また、筋肉の活動は必ずしもその長さを縮めていく活動だけではなく、むしろ自重を受けて、重心の位置を上下左右前後にコントロールするために、伸びながら筋収縮の程度を調節して関節の動きをコントロールする役割が多いと思います。
また、これも前述しましたが、動作中最大筋力を常に発揮しているわけではありません。むしろ素早い収縮による筋パワーが必要になる場合も多いと思います。繰り返しの動作になると筋持久力の要素も必要となります。
それに、感覚の信号を受けて、力の発揮具合を調節しています。これに関しては、分かりやすい例を言うと、皆さん正座などを長時間していて足がしびれた経験を持っていると思います。ひどい時には足裏の感覚が無くなり、急に立とうとすると力が入らず転びそうになったことがある方も少なからずいると思います。我々はこのような感覚信号を筋収縮の調節に使っているのです。もちろん、皮膚感覚だけではなく、視覚情報や三半規管による体の平衡感覚の情報、筋肉や腱・関節包などに位置している感覚センサーによる情報なども、筋の収縮調節に関与してきます。
さらに、動作中には筋力以外の様々な力(床反力・慣性力など)が体に加わります。また、動作環境による心理的な要素も無視できません。
例えば、直立姿勢を取る時、両足の幅だけの面さえあれば重心をその面内に落とし、立位を保持できます。しかし、その面だけをステージ状に突出させて、その上に立ったとしましょう。想像しただけで分かると思いますが、落ちるのではないかという恐怖心が働き、広い床面で立った時よりもかえってバランスを取りづらくなるでしょう。ステージという環境の変化、恐怖心という心理的な変化が、姿勢制御に影響を与えるわけです。
まとめてみると以下のようになります。
少なくとも、筋肉を使う練習は単純な筋トレだけでは成り立たないということです。
※ここで言うところの、良好な支持性とは、安定して適切な姿勢で体重を支持している状態を指します。
最後に示したように、筋力はあくまで必要条件であり、それさえあればOKと言うものでは、少なくとも運動・動作においては、ないということがお分かり頂けましたでしょうか。長々とくどめに書いてきましたが、これで筋力再考シリーズとしては、一旦終了とさせてもらいます。次回からはより具体的な動きに焦点を当てて、皆様と一緒に考えていきたいと思います。
posted by 朝野裕一 |12:44 |
筋力 |
コメント(0) |
トラックバック(0)
2006年12月21日
勝ちましたねぇ!亀田親子。
以前からうすうす感じていたのですが、亀田興毅選手は元々ボクサータイプ(ファイタータイプではなく)だったんですね。まぁ軽量級なのでチャンピオンでも普通にいるタイプですから、どうこう言うことはありません。
親父さんもこの試合に負けたら全てを失うと分かっていたのでしょう。クレバーなアドバイスが主だったように思います。その分プレッシャーは亀田陣営にも相当あったことでしょう。試合後もクリーンに終わり、勝ち負けとは関係なくどうなるかと注目していた部分はクリアした感じでした。
ちなみに自分でも採点してましたが、117-110で亀田選手の勝ちです。
これから、統一戦・3階級制覇とスポーツ新聞は煽ってますが、減量苦がないならば数試合は防衛戦を組んで、その後に統一選なり上への挑戦を狙った方が良いのではと、大きなお世話ですが思います。
先ずはクリーンに終わってよかったね!と(ボクシングファンとしては)言ったところです。
posted by 朝野裕一 |13:28 |
スポーツ |
コメント(2) |
トラックバック(0)
2006年12月20日
今日は亀田興毅選手の、初防衛戦ですね。前回疑惑の判定は否めませんが、今回はどうでしょう。注目と言えば注目です。
元々、各闘技が好きですが、やっぱりボクシングが一番好きで、WOWWOWのExcite Matchは欠かさず見ています。世界のあまたいるチャンピオンの試合を見ていると、正直前回の試合は?(ハテナ)マークがいっぱいのすっきりしない試合結果でした。今回の亀田選手の試合如何で、心・技・体全てが世界チャンピオンレベルに達してているか否かをを見極める事ができるのではないか、またそういう試合になれば良いなと思ってます。親父さんの態度も闘志を内に秘めるにとどめ(そういうキャラではないかも知れませんが)、冷静なセコンドワークをボクシングファンとしては期待したいものです。
パフォーマンスは興業スポーツとしては当たり前ですが、どうかラスベガスに行っても恥ずかしくないレベルのものを見せて欲しいです。勝ち負けは個人的には二の次です。試合の雰囲気から内容・パフォーマンスまで全体的に(WOWWOWでも放送できるかどうか?の視点で)見ていきたいと思います。
機会を見てボクシングのことについても、体の使い方に絡めて書きたいと思ってます。
posted by 朝野裕一 |09:04 |
スポーツ |
コメント(0) |
トラックバック(0)
2006年12月18日
先日16日付で書いた「筋力を再考します~その六~」に厳密に言うと誤りの記述がありました。特にご指摘は頂いておりませんが、その前にお詫びをかねて修正版を書きましたので、ご了承下さい。修正部分は以下の所です
「等張性収縮(isotonic contraction)→筋の長さが変化する/関節を動かす
これにはさらに二種類の収縮様式がある
・求心性収縮(concentric contraction)→筋の長さが短くなりながら収縮する;手に錘を持って肘を曲げていく時の上腕二頭筋(力こぶのできる筋肉)
・遠心性収縮・・・・・」(「筋力を再考します~その六~12/16)
まず、生理学的な定義によれば、等張性収縮は、張力が一定で、筋の長さが変化する状態を示します。しかし、実際の(運動・練習などでの)場面では張力を一定に確保することが困難なため/起こりづらいため(例えば、関節の角度の変化と関節の回転中心との関係で、同じ重さの錘を使用しても関節角度により張力は変化する などの理由で)、便宜上等尺性に対して筋の長さを変化させる収縮形態を『等張性収縮』とよんでいます。
従って、その後の求心性・遠心性の区別は厳密に言えば、等張性の二種類の細分類ではなく、筋の長さが変化する様式の違いで二つに分けられる(別の枠組みの区別)と考えて頂くほうがより正確です。くれぐれも全ての例で、等張性収縮=求心性 or 遠心性と考えられぬようお願いします。
なるべく分かりやすく、しかしなるべく正確に記述したいと思っていますので(これがかえって分かりにくかったりますが)、誤解を招くような表現をしたことをお詫びするとともに、修正致します。今後ともよろしくお願いします。
posted by 朝野裕一 |16:52 |
筋力 |
コメント(0) |
トラックバック(0)
2006年12月16日
筋力のちょいと面倒な話ばかりなので、別の話も・・・
松坂さ~ん、は念願叶いレッドソックスとの契約が成立しましたね。今更ながら、野球競技と野球ビジネスの相違を感じさせてくれました。事の善し悪しは別として、アメリカと日本の違いかなと・・・
思えば野茂選手が最初に、日本球界からはさんざん批判されながら開いた日本人メジャーリーガーへの道は、とうとうここまで来たなぁという感じですね。その意味で改めて、野茂は偉いなぁ、と思います。もちろんイチローや松井秀喜もすごいし、今MLBで活躍している日本人は全てある意味開拓者の末裔なのでしょう。
その中でも個人的にどうしても気になる選手が居ます。そうそう、そう(壮)田口です。当初こそ期待をされて、それなりの年棒契約を交わした彼ですが、その後の順風万般とはいかない経緯を常に気にしながら、何とか活躍してくれないかぁ、と願っていました。それゆえ、日ハムの快挙もさることながら、セントルイス・カージナルスのワールドチャンピオンには人知れず喜んだものです。
白人の多いセントルイスという土地の不利益さ、一時期は(2Aの優勝のための助っ人とはいえ)3Aから2Aまで落とされた境遇にもかかわらず、日本では味わえない野球の楽しさを経験していると、(内心は違うでしょうが)嬉しそうな顔をしてインタビューに応じている彼をみた時、他の日本人選手の誰よりも活躍を期待したくなった事を思い出します。
彼もいずれは引退して日本に帰って来るかも知れません。その時は、多くのことを日本野球界に還元してくれるのではないかと、予感しています。そのくらい他の選手が味わっていない(新庄選手とはまた別に)様々な経験をしている選手だと思います。
井口に続く、ワールドチャンピオンリングをはめた日本人になった田口選手を、皆さん!来年も応援しましょう!!
posted by 朝野裕一 |14:40 |
スポーツ |
コメント(0) |
トラックバック(0)
2006年12月16日
筋肉の話は尽きません。今後さらに説明をしていく上で、ご存じの方は単なる確認として/ご存じない方は用語とその定義のお勉強と思って読んで下さい。従って今日は少し細かい話から・・・
まず、筋の収縮にはいくつかの様式があります。
- 等尺性収縮(isometric contraction)→筋の長さが変化しない/関節を動かさない
- 等張性収縮(isotonic contraction)→筋の長さが変化する/関節を動かす
これにはさらに二種類の収縮様式がある
・求心性収縮(concentric contraction)→筋の長さが短くなりながら収縮する;手に錘を持って肘を曲げていく時の上腕二頭筋(力こぶのできる筋肉)
・遠心性収縮(eccentric contraction)→筋の長さが伸びながら収縮する;先程の状態から(手に錘を持って)徐々に肘を伸ばしていく時の上腕二頭筋
- 等速性(等運動性)収縮(isokinetic contraction)→関節の動きが等速度で動く時;通常は速度設定可能な機器で測定する時の動き
さらに特殊な様式として、
- Econcentric contraction→筋の長さが変化しない/関節は動いている;肘を曲げながら後ろに引く動作の時の上腕二頭筋;これは二関節筋に当てはまる収縮様式/上腕二等筋は肘関節と肩関節(正確に言うと肩甲上腕関節)の二つにまたがる長頭腱を有しているので、二関節筋と言います
また、収縮様式とは別に収縮する時の条件により以下のような分類もあります
- Open kinetic chain(OKC) exercise→荷重しない(体重をかけていない)状態での運動/全体がフリーに動かせる
- Closed kinetic chain(CKC) exercise→荷重下(体重をかけた)状態での運動/荷重のかかっている部分(例えば立っている時の足)は動かさずその他の部位は動かせる状態
さらに、
- Semi-closed kinetic chain exercise→体重はかかっているが全体として動かすことが可能な状態;自転車こぎなど
また筋力の程度にや目的によって以下の関節運動形態があります
- 自動運動(active movement)→筋の収縮のみによる運動
これはさらに、
・抵抗運動(resistive movement)→抵抗を加えながら運動する
と、重力以外は抵抗を加えない運動に分けられます。
- 自動介助運動(active assistive movement)→自動運動に介助(補助)を加えた運動
- 他動運動(passive movement)→他者の力を完全に借りての運動
さて、これらの用語を理解した上で、次回は筋力を発揮する運動(いわゆる筋力訓練)と動作の関係を述べてみたいと思います。
posted by 朝野裕一 |13:50 |
筋力 |
コメント(0) |
トラックバック(0)
2006年12月12日
ノロウィルスはまだ猛威をふるっているようです。要注意です!!。
さて、筋パワー=筋力×筋収縮速度の式までお話ししました。
よくスポーツ中継などを聞いていると、「あの選手はパワーとスピードを兼ね備えていますねぇ」といったコメントがしばしば聞かれますが、聞くたびにどうしても引っかかってしまいます。なぜならば上の式でも明らかなように、パワーの中にスピードの要素が組み込まれているからです。それを別々の要素のように言うことにはどうしても抵抗があります。コメントする人の気持ちも察することはできます。要は、スピードとパワー→ここに力の要素を移入して言っているのだろうなぁと。しかし、力学的に厳密に言うと、
パワー=力×速度なわけです。さらに、この式を解析すると、
v(速度)=x((移動)距離)÷時間(t)
となり、
パワー=力×距離÷時間
となります。力×距離=仕事となるので、
パワー=仕事率(単位時間当たりの仕事量)となるわけです。解りづらかったでしょうか?高校時代の物理を思い出してみて下さい。
つまり、パワーとは1秒間にどのくらいの仕事ができるかを示しています。
人の動作に還元してみると、この仕事というのがまさしく動作(歩行などを含む)を示していると考えて良いでしょう。
ここまで言うと、パワーをアップさせる意義というものが見えてきます。そこで、『筋力』です。動作を行うエンジンが筋力にあると仮定すると、筋パワーを上げることが必要になってきます。筋パワーを上げるためには、筋力を上げるか、筋の収縮速度を上げるか、その両方とも上げるか、です。そのために筋力アップが有効とされているのではないか、というのが結論です。
この回まで、筋力を完全否定するような論を展開していくイメージを持った方がいるかもしれませんが、そうではありません。筋力があまりにも一人歩きしてそれさえつければ的、単純思考に反対しているのです。
※厳密に言うと筋の収縮速度を直接測定することは難しいので、
例えば、脚の伸展の力(strength)と速度(speed)を測って脚伸展パワー(Power)とします。
パワーを増加させる1つの手段として、力の要素をアップさせる方法があるのです。ですから、軽い負荷(最大筋力の30%くらい)でも素早く動かすトレーニングをすれば、パワーはアップします。
また、最大の筋パワーは、最大筋力の30%で得られるという報告がされています(筋の速度ー力曲線から算出)。
ですから、筋肥大を起こすような負荷ではなくても(軽い負荷でも)パワーアップは図れることになります。
今回のパワーのことと、今までの神経刺激の増加による筋力発生アップ、さらに今後述べることになる、他の力(重力、床反力、慣性力など)の関与、全てが人の動作の量と質を決めているので、筋力オンリーの考えは成り立たないというのが筆者の観点です。ふぅ~また長くなっちゃいましたが言いたいことが伝わっているでしょうか?ご意見あればお待ちしております。ではまた次回にお会いしましょう!
posted by 朝野裕一 |12:57 |
筋力 |
コメント(0) |
トラックバック(0)
2006年12月10日
いよいよ本格的な冬、病院関係者は特に最近ノロウィルスが流行っているようなので要注意ですね。
今回は『筋のパワー』のお話しの予定ですが、その前にいくつか補足を最初にしておきます。
筋力を増大させるためには、一定の負荷をかける必要があり、その際に筋線維が微細に損傷されその修復作用が筋の肥大を引き起こすとされています。これが、『過負荷の法則』 といわれているものです。そして、筋肥大を起こすような負荷はどれくらいかというと、
最大随意筋力の40~70%とされています。30%では現状維持、20%以下では萎縮していくとされ、70%以上では40~70%の時の効果と変わらないとされています。
また、筋肥大までの期間は頻度やトレーニング様式、負荷量などによって異なりますが、おおざっぱに言うと毎日トレーニングして4週間はかかるとされています。
しかし、筋力測定すると分かりますが、筋力値自体は4週前からアップします。これはなぜかというと、以前お話しした『神経ー筋単位の増加』すなわち神経の電気刺激量の増加によるものなのです。
さらに、以前申したように筋には瞬発力だけではなく、持久力の要素があり、また後に述べるかも知れませんが、筋肉が収縮する様式にもいくつか種類があります。それに伴いトレーニング様式も異なってきます。
したがって、単に『筋トレ』といっても最大筋力の増加をはかるのか、持久力を高めたいのか、筋肥大を伴う事を目的とするのか、そしてこれから述べる、筋収縮のスピードや動作のスピードを高めたいのか、目的を明確にして取り組まなければならないわけです。
我々が病院でみる患者さんは、歩行能力が低下しているケースが一定数あり、結果としての下肢などの筋萎縮を伴っていることが多いです。そのような患者さんに、「筋トレをして歩けるようになりましょう」、みたいなことをよく言いますが、ここで言う『筋トレ』は必ずしも『過負荷の法則』に則ったトレーニングを指しません。どんな形であれ、筋肉を収縮させる事を前提とし、負荷量は必ずしも問いません。筋肉に行く神経刺激を増やすことが目的です。 これを私共(私の病院の理学療法士)は、筋の賦活トレーニングと定義しています。ですから重錘を使わず足の重み自体を負荷にしたり、体重を利用したトレーニングをしたり、場合によっては水中の浮力の助けを利用したり、と様々です。
補足が大分長くなってしまい、本題の筋パワーまで言及できませんでした。これは次回に回します。ただ、1つだけ示しておきます。
筋のパワー(power)=筋力(strength)×筋収縮速度(speed)
先ずはこの式だけ覚えておいて下さい。筋力アップだけが、動作の改善を起こす唯一の要素ではない理由が、この式に含まれています。
それでは皆様、時節柄風邪などひきませぬように!!
posted by 朝野裕一 |18:22 |
筋力 |
コメント(0) |
トラックバック(0)