2010年07月26日

運動夜話:日の入り直前

一昨日、札幌で第52回サイエンス・カフェ札幌に参加してきました。

テーマが脳とカオス、となれば複雑系の科学身体活動との関連性の手がかりやいずこに??という思いで、行ってきました。

内容は主にコミュニケーション時の脳の働き(ヒトが互いに共感しているとき、場合によっては脳波が同期しているようだ、といったお話し)及びミラーニューロン最初に猿の実験で明らかになったものだが、だれかがたとえば目の前にあるボールを手に取る動作を行ったとすると、それを見ている別のヒトの脳内で同じ動作;ここではボールを手に取るという動作;を行う部分の神経活動が活性化するという)に関するお話しでした。

残念ながらテーマは別だったので当然、アフォーダンス複雑系との関係?などのお話しなどは聞くことができませんでした。

終了後にゲストの津田さんにご挨拶して、今後とも質問などさせてもらえればなどと勝手に考えておりました。何せもう20年以上前から、脳とカオスということで研究されている有名なお方ですので、果たして相手にしてもらえるかどうか分かりませんが・・・トライはしてみようと思っています。

上述のサイエンス・カフェで、複雑系の動きの例として、二重振り子が提示されていました。これがまた、日本の山本製作所というところで作られた超長い(摩擦力の極端に少ない)時間;約9分強!!;動いている振り子です⇒二重振り子参照

実は数年前、CoSTEPで学ばせていただいたときに、小学校で理科の授業をするという講座に入り、振り子の原理をヒトの身体に転用して;腕を振ったりなどの動きで体感してもらう;理解してもらおうという趣旨の授業をさせてもらったことがあります。その時に二重振り子の模型も見せたりして、複雑な動きをする振り子もありますよ、というデモをした記憶がよみがえってきました。まさしくヒトの肩・肘(・手首)や股関節・膝(・足)などはある面の動きだけを捉えれば、二重(三重)振り子構造ともいえます。

この様な複雑な予想できない動きをする振り子構造をいかに脳などの神経系が制御しているのだろう?と考えただけでも不思議ですし、面白そうではありませんか。そこで身体活動とカオスおよび複雑系の科学が関連してくると思います。

報告が長くなりましたが日の入り前の最後の文でした。
いよいよ次回以降は第一夜から始める予定です。
※今の所不定期に;何せまだ次のネタすら決まってませんから・・・

続く>>

posted by asa20 |18:24 | 運動科楽 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2010年07月23日

運動夜話:日の入り前

ここまで、運動に関わるお話をしてきました。
現在進行中の『筋トレって何だ!?』とは別個に、

運動に関する四方山話を、夜話(やわ;よばなし)として
連載していこうかと思っています。いつまで続くかは?マークですが・・・

運動とは?⇒関節運動の組合わせ⇒これが、一連の行動となり、
さらに、何らかの意図を持つ行為となったり、生活場面での半ば無意識的な日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)や、目的を持ったスポーツ動作、武道や能・歌舞伎などの芸能の動作(=身のこなし)・舞踏(ダンス)などの動きになったり、楽器を操作する動き(⇒音楽を奏でる動作)にもなります。

まぁとにかくこの世に生を受け死ぬまで、心臓や肺が動いていること自体を含めて、生きていること=動きを伴う
この事実に皆、意外と無頓着と言うか興味がないのではないかと思うことがしばしばです。

もっと実感として、ヒトの身体の動きということに興味を持ってもらうことはできないか?これが私自身の究極のテーマというか、大げさに言えばライフワークになります。

そしてこのある意味身近にある運動というものが、
中々捉えづらくまた、様々な学問と接しているということに気付けば気付くほどに面白さが増加していくものです。

【様々な学問って?】
例えば・・解剖学、生理学、物理学(力学)、神経系の科学、脳科学、運動学(kinesiology)、生体工学(biomechanics)、認知科学・認知心理学、医学、社会学、経済学(行動経済学)、数理学(複雑系の科学)・・・・
など数え上げたら切りがありません。

こんな運動の世界を何とか面白く体験・追体験・再体験・想像・創造できないものか?考えて行きたいと思っています。
まだ日の入り前にて続く>>

posted by asa20 |18:27 | 運動科楽 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年04月18日

運動科学(楽)の旅:第1章~物性としての身体の動き(7)~重心の移動③

前回までの結論としては以下の通りでした。
↓
立っていて体重を一側へ移動した時に生ずる現象:
一瞬重心を移動するのと反対側の体重計が増加し、その後重心移動側の体重計が最終的に増加します。
すなわち、重心の移動と体重のかかり方は必ずしも一致しない→ある場面では、重心の移動≠体重の移動というわけです。

ということでした。

これは慣性の法則に関連することでした。
すなわち、静止している物体は何らかの力が加わらなければ動き出さないということです。
体重を一側に移動する動きにもそれは当てはまります。
ではその時の初動を促す力は何でしょうか?
それが、床反力の発生点である足圧中心と、重心の位置の差異による力(モーメント)によるものです。


asa20-83133.jpg


ここでのCOPとは足圧中心を、COGとは重心の鉛直線の床と接する点を、BOSとは支持基底面のことを指します。

この現象(は側面から見た前後の動きを示した説明でした)が正面から見た左右の重心移動にも当てはまる訳です。

さて、ここで何を一番言いたかったかというと、
よく、「重心を○○へ移動させて」とか「体重の移動をスムースに」など
重心と体重もしくは荷重などという言葉を運動指導の際によく使います。しかし、今まで見てきたように、“必ずしも体重・荷重のかけ方と重心の移動とは一致していない”ということなのです。

実際の場面で指導する時には、難しいことを行っても理解しづらくかえって動きを制限してしまう可能性があるので、足圧中心や床反力、重心線、基底面などという言葉は使いませんが、指導する側はよくよくこの原理を知って混乱を招かないように、理解しておく必要があると思います。そうでないといつの間にか指導する側が混乱を来してしまい、誤ったメッセージを選手などに与えてしまう場合があると思うからです。
※実際に説明する時には各人に分かりやすい言葉を使い分けて指導することも必要になると思います。

このことについてはもう少しお話しします。次回へ~


posted by asa20 |13:04 | 運動科楽 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年03月11日

運動科学(楽)の旅:第1章~物性としての身体の動き(6)~重心の移動②

 先週の問題の答えを、お示しします。


asa20-75538.jpg


上図の時、体重計はどの様な動きを示すでしょうか?が問題でした。
答えは、
asa20-75540.jpg


です。
一瞬重心を移動するのと反対側の体重計が増加し、その後重心移動側の体重計が最終的に増加します。
すなわち、重心の移動と体重のかかり方は必ずしも一致しない→ある場面では、重心の移動≠体重の移動というわけです。
皆さんもお家の体重計を使って(2つ無いと出来ませんが・・・)やってみて下さい。
例えば先程の例だと『右には絶対体重をかけないで左に重心を移すぞ!』と頑張れば頑張るほど、無情にも右の体重計の値が増えます。もしどうしても右の体重計の値を増やさないようにするのなら、太極拳のごとくゆっくり、しかも左の腕を外に挙げるなどして重心の移動を補助する動きを混ぜていけば、もしかしたら増えないかもしれません。

さて、なぜこの様な現象が起こるかは、既に歩き出しの時に説明していますが、次回もう一度ふり返って考えてみましょう。


posted by asa20 |18:42 | 運動科楽 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年03月07日

運動科学(楽)の旅:第1章~物性としての身体の動き(5)~重心の移動①

 物性としての身体の動きからもう一度考えますと、人の身体が動くということは→慣性の法則からすると、何らかの力が加わらなければなりません。

 もちろん地球に住んでいるいじょう、重力は鉛直方向に常に受けています。それ以外の方向への動きに関しては、重力方向以外の力が加わらなければなりません。

 さて、ここで皆さんに質問です!
今、一人の人が立っています。両側の足にほぼ均等に体重をかけています。そこから重心の位置を(両足で立っている範囲で)左へ移動してみます。

asa20-74408.jpg


上から見ると、こうなります。


asa20-74414.jpg


※正確に言いますと、は重心からの垂線(鉛直線)と床との交点、です。

 さて、この時両側に体重計を置きその上に乗って同じ動きをしたとします。
問題:重心を左へ移動する時に体重計の目盛りはどの様な動きを示すでしょうか?
何、当たり前のことを聞いているの?質問の意味がわからん!
という方がおられますでしょうか?あまり詳しく説明すると答えになってしまいますので、もう少しだけ書きますと、左へ重心が移動する瞬間に体重計の針はどの様な動きをするでしょうか?と書き換えても良いと思います。
※今時アナログ体重計か?とおっしゃらずに、デジタル目盛りの動き、と言い換えても構いません。
 ヒントは、以前お話しした、歩き出しの時の現象の項を思い出してみて下さい。

◎問題の答えは来週早々にも、掲載致します。その間少しお考え下さい。ではまた来週。


posted by asa20 |13:33 | 運動科楽 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年02月19日

運動科学(楽)の旅:第1章~物性としての身体の動き(4)

さて、身体に関わる物理的な要素を述べてきましたが、ここで
「なぜヒトは動く(動ける)のか?」という問題と「動くということはどういう事か?」についてできるだけまどろっこしくなく、説明していきたいなと思っています。

動く事を考える前に物理の基本法則である、慣性の法則を思い出してみて下さい。

物体は力を加えられない限り動きませんし、一度力が加われば、動き続けます。もちろん、地上では摩擦力や空気抵抗などが常に物体に加わっているので、いつか止まってしまいますが・・・

さて、身体の物性に戻りましょう。

asa20-71421.jpg


この最後のつり合い=バランスをもう少し説明すると・・・

静定なバランス(static balance)動的なバランス(dynamic balance)に分けられると思います。

以前書いたような静止立位(厳密には完全には止まっていません)の状態をと捉えることができます。

実際の物に例えてみると、動的バランスは、コマやヤジロベエ、また以前特集した振り子などに例えて考えてみると分かりやすいかもしれません。



asa20-71422.jpg


asa20-71425.jpg


では動的なバランスを保ちながら人の身体はどの様にして動いているのでしょうか。次回に進みます。


posted by asa20 |19:45 | 運動科楽 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年02月13日

運動科学(楽)の旅:第1章~物性としての身体の動き(3)

重心(正確には物体の質量中心)と支持基底面は前回ご説明しました。

さらに、床反力=床から受ける反発力
足に加わる力→足圧および足圧中心のことは過去のブログをご参照下さい。

また、床反力・足圧と重心の関係についても、一昨年三月のブログに詳しく書いていますのでご参照下さい。

次に、関節に加わる回転力=関節モーメント慣性力および慣性モーメントについて書く予定です。

posted by asa20 |09:24 | 運動科楽 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年01月30日

運動科学(科楽)の旅:第1章~物性としての身体の動き(2)

物体が地面に静止している状態を考えてみます。

その物体の質量の中心=(地球上では)重心が存在し、そのものを受け止める面が形成されます。これを支持基底面と呼びます。

asa20-68356.jpg


左の図が筒状の物体が地面におかれた状態です黒丸(●)が重心(質量の中心)、下の円が支持基底面を示しています。支持基底面上の黒丸(●)は重心から垂直に地面に降ろした線が地面と接する点を示しています(重心支持基底面への投影点)。

右側は人の略図です。左の物体と同じように重心(●)、支持基底面=この場合両足で囲まれた面全体です、重心支持基底面への投影点を示しています。

人が静止して立っている時はこの様に、重心とその投影点は静止しています→厳密にはわずかずつ支持基底面内で動いています。

次週は床反力関節モーメントの復習です。


posted by asa20 |18:08 | 運動科楽 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年01月28日

雑感~運動の迷宮

 人が『生きる』(人生の営み)上で、『動く』ということは言うまでもなく、密接に結びついています。

意識的にせよ、無意識的にせよ、人は何らかの目的を果たすために動きます。

そしてそれは単に移動することだけではなく、何らかの表現・表出としての動き→絵を描く、文章を書く、踊る、演ずる・・・も含められます。

人はいかにそれらの目的や環境に応じて(適応して)動きを習得(運動学習)していくのか?

また、成長の段階でいかに運動の発達(運動発達)が成し遂げられていくのか?

これらを探る旅はかなりの迷宮入りを覚悟しなければなりません。しかし同じ旅でもハイウェイを効率的に移動するのに比べ、大変だし、しばしば混乱を伴いますが、そこにこそ面白みがあるのではないかと思います。

ここ数十年医療の世界でも、あらためて根拠が問われることが多くなっています。しかしそこで言う根拠とは何を示すのか?良く考えなければならないと思います。

結論から言うと、それは決して最終的に数字で帰結されるものではないだろうということです。
なぜなら、何かを行う=行為の根拠を問う場合、そもそもその行為は何を成果として定義しているのか?をまず問わねばならないからです。そしてその定義された成果を何で示すのか?は次に考えねばならないことです。

成果を安易に数字に帰着させてしまうと、いわゆる“成果主義の弊害”になってしまいます。真の成果とはまず概念的なものでなければならない所以です。そしてそれを意識しない限り、真の根拠ある行為は成し遂げられないだろうと思います。

21世紀は間違いなく“質の時代”です。質をいかに汎用性のある・普遍的な評価として定義していくかがテーマになると感じています。

これからも試行錯誤の、運動にまつわる迷宮の旅へ歩を進めていこうと思います。



posted by asa20 |19:32 | 運動科楽 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年01月23日

運動科学(科楽)の旅:第1章~物性としての身体の動き~

 まずこの章では、身体の運動の構成体としての身体の物性について述べていこうと思っています。

ここでどうしても無視できない環境要因として、地球上の1Gの重力があります。身体物性を語る上ではこれらの力とそれに伴う作用をまず考えねばなりません(“力学の世界”)。

それに加えて、以前も述べましたが、地面から受ける作用力床反力があります。

そして重力がかかる重心点とそれを支える支持基底面という考えも重要です。

さらに運動が発生する場面では、関節回りに働く回転力=関節モーメント、関節内に働く関節内力から力の作用を考える場面も出てきます。

また、力の加わり方という点では、慣性による関節の回転力である、慣性モーメントなども重要になってきます。

来週これらをまとめて図示してみましょう。

posted by asa20 |20:05 | 運動科楽 | コメント(0) | トラックバック(0)
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