2008年03月06日

あれから10年。思い出す、あの日。

1998年3月5日。
長野パラリンピックの開会式が行われた日。
もう、10年が経ちました。

アパレル関係の会社に勤めていた社会人1年目の冬、
土日の休みを利用して、長野へ行きました。
目的は、そう。パラリンピック観戦。

オリンピックをテレビで見ることしかできなかった悔しさから、
やっと取れた休日の夜明け、何かに誘われるように家を飛び出した。
現地に行けば、なんとかなる!

若さゆえなのか、勢いだけで出発しちゃった。
電車の切符も、観戦チケットも持たずに、そして宿もとらずに。





長野について、駅周辺のビジネスホテルをかろうじてキープできた。
どんな競技をやっているのか、
出発直前、大会実行委員会に電話で聞いたわずかな情報をもとに、街へ出た。
私には限られた時間しかない。
天候に左右されない室内競技の観戦に的を絞った。

しかしアリーナ前、アテにしていたダフ屋はいない。
オリンピック期間中は、山のようにいたのに、ナゼいない!
チケットがないと、見られないではないか~!!

仕方がないので、開場待ちの長蛇の列に声をかけた。
「すみませぇん、チケット余ってませんかぁ?」
最初は恥ずかしさで、小声で話しかけた。
でも、周囲には同じようにチケットを求める人が意外と多く、
ダンボールに「Give Me Ticket」と書いている人までいる。
争奪戦になりそうな気配を感じた。

少しでも可能性のあるほうへ行かなくては、と
会場の外に出て、駅のほうから歩いてくる観客らしき人に声をかけ続ける。
どんどん声が大きくなっていく。
でかい声は、意外と得意。こうみえて(?)、体育会系出身だもん。

1時間近く、外をうろついていただろうか。
ようやくゲットしたのは、なんと大会期間中その1枚のチケットで
どの競技も観戦し放題というスバラシイものだった。
少々高かったけど、そんなことは言ってられない。
明日もこのチケットで観戦できるのだ。
もうこんなチケット乞いをしなくてもよいのだ~。

譲ってくれたひとに深々と頭を下げ、
「ありがとございましたっ」と言いながら、
アリーナへダッシュした。

滞在期間、わずか2日間。
でも、そこで見たもの、その迫力と感動は今も忘れられない。
スピードを競うアイススレッジスピードレース。
そして、アイススレッジホッケー。

はじめて見るそれらの競技は、私の目にはあまりにも新鮮に映った。
そりに乗った人が、こんな動きができるのか、と。
アスリートのたくましさ、美しさを、全身に感じた。
会場に来ているひと全員が同じことを感じていたのではないかと思うほど
アリーナは興奮に包まれ、空気がビンビンと音を立てていた気がする。
会場から出てきたときは、いいライブと出会ったときのような
なんともいえない恍惚感に包まれていた。

なんて、おもしろい世界なんだろう・・・。
これが、私が障害者スポーツにハマった瞬間だったと思う。

今では、インターネットをはじめ、あらゆる情報発信源を活用すれば
必要なものがすぐに手に入る。
でも当時は、インターネットもまだ普及しておらず、
ニュースでもほとんど取り上げることがなく。
私は出発前日、「104」に電話して、
長野パラリンピックの事務局らしき番号をすべて聞き出して、
電話しまくった。

「○日にある競技は何ですか?場所は?時間は?どんな競技ですか?」…。

帰りの電車のなかで、ひとり考えた。
こんなに面白い世界なのに、あまりにも情報が少なすぎる。
オリンピックと同じなのに、この違いは何なのか?
正しい情報が発信されれば、認知度はあがるのだろうか?
みんな、この世界を知らないなんて、もったいない。

何か、自分にできることはないか。
情報のあまりの少なさに軽くショックを受けていたせいか、
私は突拍子もないことを思いついた。

「情報」を発信する仕事に就けばいい。
できれば、自分の言葉で伝えたい。この世界の魅力を。

・・・それが、いまの私の原点。
あんまり成長してないけど、10年、思い続けることができたことを
幸せに思う。

いつまでこの仕事を続けるのか、
自分のなかのゴールはもう見えている気がする。
でもその日が来るまでは、あのアリーナで見た選手のように、
全力でゴールに向かって走り続けていたい。

そのとき、振り返ってみて、
「ああ、やっぱり幸せだったなあ」って思えるように。

がんばらねば。うん。



posted by amiharu |21:35 | その他 | コメント(4) |
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この記事に対するコメント一覧
あれから10年。思い出す、あの日。

あらきさんの行動力って凄いですね。
おいらはいつの間にか観客から
氷の上にいたりしてますが・・・
引きずり込まれたって感じですが(笑)

posted by はたぴょん | 2008-03-06 23:22

あれから10年。思い出す、あの日。

10年かぁ・・・辛い事もあったと思いますけどきっと素晴らしい充実した10年だったんでしょうね♪
今日FM802で10年前のヒットソングは「タイタニック」の主題歌って言っててもう10年前か!?ってびっくりしましたよ。でもその時は10年って長いようで意外と短いって思いましたよ。
だからゴールがもう見えてるって・・・まだまだ10年やん!!
軽い気持ちでチャレンジしたフルマラソンでボロボロになったにも関わらずもう一度走ったのはゴールで感動したから。ゴールで感動したり「あの時ああしといたら良かった」ってゴールした後に思ったら荒木さんもきっとまた走り出しますよ(^o^)丿

posted by kazu-t | 2008-03-07 00:25

あれから10年。思い出す、あの日。

>はたぴょんさん
確かに引きずり込まれたのかもしれませんが(笑)、はたぴょんさんは、長野チーム、代表にとって欠かせない存在。表に出るひとたちだけでなく、はたぴょんさんのような裏方さんのサポートがあって、成り立っているんだということを、近くで見ていて常々思います。私もいつもいろいろ教えてもらって感謝してます!・・・ボストンでもよろしくです(笑)。

>kazu-tさん
ご無沙汰です~。本当に、ゴールって次への一歩ですよね。最後じゃないんだ、ということをこれまでの山あり谷ありのライター人生で痛感しています(笑)。さまざまな挫折や経験から、「後悔はしたくない」という思いをずっと持っています。とりあえずこの信念を貫ける環境にあるというのは、幸せだと思います。

posted by amiharu | 2008-03-07 21:16

あれから10年。思い出す、あの日。

長野行ったな~
オリンピックで女子フリースタイルのスキー
パラはアイススレッジホッケー

地元新聞にインタビューされて名前出ちゃったし (^^;

って事は少なくても10年はスレッジホッケーの魅力という魔力に感染されていますネ

posted by I/B #22 ヒロ | 2008-04-23 15:16

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