サッカーと心身の使い方

関係性が大切です!

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こんにちは、今回は私の恩師のお話です。

私は大学生の時につくば市の並木FCで小学生にサッカーを教え始めました。

当時の監督は萩原武久先生(筑波大前教授)でした。萩原先生は厳しい方でよく子供達を叱っていました。しかし、子供達はうなだれることなく次の練習や試合に向かって奮起していました。

それまで、コーチから怒られると兵隊のように「ハイ」と返事をするだけでまったくプレーが改善されないチームや、監督から怒られると頑張るけど、監督がいなくなると手を抜くというチームをよく見かけていた私は叱る指導は選手の思考能力や自発性を奪うのでよくないと思っていました。

ところが、萩原先生の指導は当時の私の常識を覆すもので、なんで子供達は叱られても生き生きとプレーをしているのだろうと疑問に思いながら並木FCでコーチを続けておりました。

卒業後、先生から学んだ「選手に考えさせて、自主性を引き出す」という哲学を大切にして指導を続けたのですが、叱る指導についてはなかなか答えが見つからないまま、年数が過ぎていきました。

そんな中、2001年から2年間、私は青年海外協力隊員としてバングラデシュへ育成年代の選手達にサッカーを教えに行きました。

そこでは一般的に子供達はよく叱られ、よく叩かれていました。しかし、めげず、へこたれず、キラキラした目ですぐに立ち直っていました。

さて、何が違うんだろうと観察を続けたところ、そこには、人と人の間に信頼関係が築かれているんだということが見えてきました。

彼らは他人を恐れていないので、ダッカの混雑したバスの中で(先日もテレビでやっていましたが、すごいです!)身体と身体が密着していてもまったく緊張をしていません。それどころかすぐに知らない人と会話を始めてしまいます。

対照的に日本の通勤電車ではみんなガチガチに固まって、ケータイやゲームに没頭しなるべくお互いに関わらないようにしています。

いろいろ調べて分かったことは、人との信頼関係は生まれた時にどのように扱われるかということ、例えば、モノを扱うような手で取り上げられ、母親にだっこされる前に冷たい測定機器で身長・体重を計測されるという体験は対人不信につながるそうです。また、3歳ぐらいまでに親や周りの人達からどのように受け入れられていたかということなども大きく影響をするようです。

バングラデシュの子育ては、大家族で常に誰かが面倒を見てくれるし、3歳までは叱らず、否定しないで育て、3歳を過ぎると厳しく躾けるという話も聞きました。

昔の日本もこんな感じだったと思いますが、今は核家族が多く、子育てにはとても厳しい環境です。私も現在子育中ですが、親は何かサポートが必要だなと感じています。私の場合はアレクサンダー・テクニークが自身の状態をコントロールするのにとても役に立っています。

さて、萩原先生の指導を振り返ってみると、先生はいつも全力で子供達とぶつかっていました。本気で叱り、本気で誉めて、子供達と先生の間には信頼関係ができていたということに気がつきました。

よく、「体罰は是か非か」とか、「誉めて育てるのがいいか、叱って育てるべきか」という議論を目にしますが、このような議論は表面的なものだと思います。

教師と生徒、コーチと選手の間に愛情ある信頼関係がなければ、どのような指導方法も絵に描いた餅で終わってしまいます。

では、信頼関係があるかないかってどうすれば分かるんでしょうか?
指導者が「選手のためを思って」叱っていても、選手は恐怖を感じているかもしれません。最近の子供達は叱られ慣れていないですから。

ここでひとつ、選手がどう感じているかということをはかる物差しとして使えるものを提示したいと思います。

人間は恐怖を感じると頭を下に押し付けて首を固めるという反応をします。恐怖反射としても知られているものです。

指導者が選手を指導しているときに彼らが頭を押し下げて首を固めていないかということをチェックすることはひとつの指標として使えると思います。
話しながらチェックするのが難しい場合はアシスタントコーチなどにチェックしてもらって下さい。

今では誰でも指導方法に関する情報を簡単に入手することができるようになりました。指導者として差がつくのは“その人の人間性”という時代に入ってきたと思います。

私自身は、叱る指導は必要ないと思っているので、叱らないでどのように生徒の能力を引き出せるかということを考えて教えていますが、信頼関係ができていれば、叱る指導もありだと思います。ちなみに体罰については否定的ですが。

指導者として魅力のある人間になれるよう常に努力を怠らないようにしたいですね。



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アレクサンダー・テクニーク教師
高椋浩史(たかむくこうじ)

2001年から2年間、青年海外協力隊員としてバングラデシュでサッカーを指導。現地の人たちのしなやかなで生き生きとした身体のありかたに感銘を受ける。帰国後、アレクサンダー・テクニークの教師養成コースで学び2010年に教師認定を受ける。
現在は東京・吉祥寺のアレクサンダー・テクニーク教師FUN!で主に教えている。

連絡先 takamuku@cozyalexander.com



       

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