サッカーと心身の使い方

U23シリア戦で思ったこと。

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 昨夜のU-23シリア戦、残念な結果でしたね。実力的には上と思われる日本の選手達ですが、昨日はあたふたしていてシリアの選手達の方が自信を持ってプレーをしているように見えました。国際大会での経験値が低く、メンタルのコントロールが上手くないなど様々な理由が考えられますが、アレクサンダー・テクニーク教師の視点から、もしかしたらこのようなことが起こっていたのではないかということを書いてみたいと思います。
 近年、常にゴールを意識してそこから逆算してプレーを選択するという指導がなされています。確かにゴールを意識しないでパスまわしをしているといつゴールに向かえばいいのかということが判断できなくて漫然とボールを回すというプレーになります。一方でゴールを意識しすぎると、周りが見えなくなり今必要なプレーの選択肢が制限されて、簡単にボールを失うという現象が起こります。アレクサンダー・テクニークの用語でエンドゲイニング(目的達成指向)と言われる状態です。これは、目標にばかり意識がいってしまい、今必要なことが見えなくなってしまうという状態です。そうなると、その瞬間の最適なプレーの選択が出来なくなってしまいます。昨日の試合の場合、日本の選手達は「勝たなければいけない。」→「ゴールを奪わなければいけない。」という意識が強すぎて、ボール保持者、周りのプレーヤーともに常にゴールを目指すという選択肢を選ぶ傾向が強く、今はサポートに入ってボールを回す、機を見てゴールを目指すという判断があまり上手くいっていなかったように見えました。(芝の状態などもあり、あのようなプレーを意図的に選択していたのかもしれませんが。)
 日本代表の遠藤選手のプレーを見ていると常に冷静でこのあたりの状況判断がすばらしいなといつも感心させられます。
 理想的にはプレーヤー全員がゴールという目的を共有しながらも、今必要なプレーを判断できる意識状態でプレーできるようになるといいと思います。そのためには、当たり前ですが実践的な練習の中でプレーの判断を磨くということと、厳しい戦いのなかで経験を積んでいくということが必要です。 
 指導者としては、エンドゲイニングに陥って、周りが見えなくなっている選手に対して、彼らが今どういう状態に陥っているのかということを指摘して、自分で修正できるように指導できるといいと思います。
 彼らは状況が見えなくなっている自分に気づいていないので、「今何が見えていた?」とか「自分の後ろにも気づいてた?」などの問いかけを行うことで彼らの意識を今に引き戻すことができます。何度も繰り返すことで、徐々に視野が狭くなっている(意識が狭まっている)ことに自分で気がついて修正することができるようになってきます。
 自戒もこめてですが、指導者自身もエイドゲイニングに陥って回りが見えなくなるということがないように気をつけたいですね。
U-23日本代表のみなさん、今回の敗戦を糧に残り2試合頑張ってください。

 *アレクサンダー・テクニークは音楽家や演劇の世界ではけっこう知られているのですが、スポーツの世界ではまだまだ知られていません。サッカー界では4年くらい前にドイツのユース年代のFWの選手がレッスンを受けてプレーが改善されたという英語の記事を読んだことがあるくらいです。
 私は6年ほど前に直感的にサッカー選手にも役に立つと感じて教師養成トレーニングに入り、昨年からアレクサンダー・テクニーク教師となり活動を始めました。心身の使い方を改善するレッスンなので、スポーツ選手のプレーの向上、習慣性のスポーツ障害、スランプなど様々な問題に対して用いることが可能です。
興味のある方はこちらをご覧下さい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/アレクサンダー・テクニーク



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アレクサンダー・テクニーク教師
高椋浩史(たかむくこうじ)

2001年から2年間、青年海外協力隊員としてバングラデシュでサッカーを指導。現地の人たちのしなやかなで生き生きとした身体のありかたに感銘を受ける。帰国後、アレクサンダー・テクニークの教師養成コースで学び2010年に教師認定を受ける。
現在は東京・吉祥寺のアレクサンダー・テクニーク教師FUN!で主に教えている。

連絡先 takamuku@cozyalexander.com



       

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(10月08日現在)

関連サイト:COZYアレクサンダー・テクニーク

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