サッカーと心身の使い方

選手のケガは誰の責任か?

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先日、レイモンド・フェルハイエン氏の「サッカーのピリオダイゼーション」セミナーに参加してきました。

レイモンドさんと彼の理論について詳しくはこちらをご参照ください。

セミナーの中で一番印象に残ったのが表題の問いに対する答えでした。

彼は「選手のケガはトレーニングの質と量でかなりコントロールできる。従って、トレーニングを計画する監督、コーチの責任である。」というようなことを言いました。

これは、選手個々の能力や特徴を考慮しない均一な、そして、サッカーを知らない外の専門家を招いて、サッカーという競技の特性とは何の関係もないトレーニングをさせて、選手がケガをすると「選手が弱い、能力が足りなかった」と使い捨てる。そして、選手も無理に復帰しょうと頑張ってケガを悪化させ、自分の能力を最大限に発揮することなく引退していくケースを多く見てきた彼がたどり着いた結論だと思います。

そして、この問題意識から自身でサッカーという競技の特性を客観的に分析して、サッカーをすることでサッカーという競技に必要とされるフィジカルコンディションを作り上げる「サッカーのピリオダイゼーション」という理論を作り上げたようです。

もちろん、プロ意識に欠けているためにケガをする選手、試合中の不可抗力のケガなどはありますが、監督、コーチはそこまで気を配ってトレーニングを行うことが必要だと言いたいのだと思います。

実際、彼は監督と協力して緻密にトレーニングを組み立てることで、アマチュアからトッププロ、ナショナルチームレベルにおいて、選手のケガを減らしながら、フィジカルコンディションを上げて結果を出すということを達成されています。

監督・コーチはサポーター、観客、スポンサーからの応援の気持ちがこもった資金によって集められた選手を預かっているのだから、全選手の能力を最大限に活用して結果を出すということが求められていると思います。

ケガ人をたくさん出すということは当然、資源を無駄遣いしているということになりますよね。

レイモンドさんのセミナーにはJリーグ関係者向けの講習もあったので、既に多くのチームでこの新しい理論を取り入れて改革を行っていこうという動きがでてきているのかもしれません。

彼のセミナーを受けて、フロントもこのような観点も含めて監督・コーチを査定する必要があるのではないかという感想を持ちました。

また、整体院でサッカー少年が結構来ているという話を聞いたり、高校生がテーピングをぐるぐる巻きにして試合をしているのを思い起こすと、育成年代にも普及して欲しいと思いました。

来年も開催されるとのことなので、たくさんの指導者の方に学んで頂きたいと思います。

さて、ここからは私がなぜアレクサンダー・テクニークを学んだかという話をさせていただきたいと思います。

私はサッカーのコーチングを学んで、高校生や大学生の指導をしたり、青年海外協力隊でバングラデシュに行き、少年達にサッカーを教えたりとサッカー界の人間でした。

そして、ある時ふと、「実は指導者の影響で選手がケガしたり、下手にさせたりしているケースがあるのではないか?」という疑問がわいてきました。

なんでこう思ったかは覚えていないのですが、「何か役に立つものはないか?」と外の世界でいろんなものを探し始めました。

そうして最後に出会ったのが、動きのクセが痛みなどの不具合を起こしている原因なので、からだの使い方を見直すことで自然な動きを取り戻すことができるというアレクサンダー・テクニークでした。

欧米ではスポーツ界でも取り入れられているのですが、元々は音楽や演劇の世界から普及していったものです。そして、日本では歴史が浅いのでスポーツの世界ではまだほとんど知られていません。そのような中、文科系(特に芸術系)の人達に囲まれて4年間学んで教師になりました。それまでの人生で出会ったことがないような人達ばかりだったのでとても楽しかったです。

さて、セミナーでレイモンドさんは外の専門家がサッカーの特性を考慮せずに理論を持ち込んでトレーニングをさせるので、選手はなぜそれがサッカーに役に立つのか分からないままトレーニングしているし、サッカーとは関係のない能力を伸ばすトレーニングになってしまっているケースが多いというような話をされました。

私も「アレクサンダー・テクニークはすごく役に立つけど、そのままサッカー界に持ち込んだのでは選手は面白くないだろうな。」と学び始めた当初から思っていました。

そこで、時間をかけてサッカー界の言葉を使って、サッカー選手が興味をもって取り組めるような教え方を探求してきました。

今では、室内での教え方と、外でサッカー選手に教える教え方は使っている原理はまったく同じですが見た目が全然違うものとなっています。

今後はサッカーコーチとアレクサンダー・テクニーク教師という両方の視点を持つ者として、新しい見方や方法論を提供していきたいと思っています。

また、いろいろなチームで教えて実証していくことも必要になると思っているので興味を持たれた方がいらっしゃいましたらぜひ声をおかけください。




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アレクサンダー・テクニーク教師
高椋浩史(たかむくこうじ)

2001年から2年間、青年海外協力隊員としてバングラデシュでサッカーを指導。現地の人たちのしなやかなで生き生きとした身体のありかたに感銘を受ける。帰国後、アレクサンダー・テクニークの教師養成コースで学び2010年に教師認定を受ける。
現在は東京・吉祥寺のアレクサンダー・テクニーク教師FUN!で主に教えている。

連絡先 takamuku@cozyalexander.com



       

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