サッカーと心身の使い方

決定的な場面でシュートを外す理由

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ブログの整理を行いサッカー向けの情報をこちらにまとめることにしました。別のブログに書いていた選手向けの情報をこちらにアップ致します。

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こんにちは、今日は恐怖心と身体の関係についてお話ししたいと思います。

みなさん、これを決めれば勝つという決定的な状況でシュートを外したことや、練習では問題なく決められるPKを試合で外してしまった経験はありますか?

私はシュートをよく外していました。練習が足りなかったんでしょと言われればその通りなのですが、時には決まることもありました。(笑)

そこでシュートを外した時と、決まった時の違いについて思い起こしてみると、外した時は必ずシュートを打つ瞬間に、コンマ数秒のことですが、「決めなくちゃ」とか「外したらどうしよう」とか「DFが来てるから、急がなくては」などの思考が浮かんでいました。

一方で、決まったときはシュートのコースが見えて、身体が自然に動いて、ほぼ無心で打てていたことを思い出しました。

さて、数年後にアレクサンダー・テクニークを学び始めてから、この言ってみれば心配とか不安という思考が現れたときに、何が起こっていたのかが明らかになりました。

人間には恐怖や不安を感じると、頭を押し下げて、脊椎を圧迫する動きが起こるというシステムが備わっています。

これは恐怖反射としても知られていて、恐怖に対する防衛反応のひとつです。
急所である首やお腹を守るために身体を縮めて固まるのです。

これは動物にも見られる現象です。動物の場合は危険が過ぎ去るまでじっとしていればいいのですが、サッカーの試合中にこれが起きると困ってしまいます。

動物の場合は目の前に現れた現実の危険物、主に捕食者に対してこの反応が起こるのですが、人間の場合、とても発達した脳があるために、実際にその瞬間には存在していない恐怖を作り出すことができます。

例えば、「もし、このシュートを外したらどうしよう」=将来に対する不安。
「絶対に決めるぞ」=決まらない可能性を暗に認めているから、その不安を隠そうとしている。などです。

このような不安や恐怖心が起こると、微妙にですが身体は縮こまり、手足の動きが制限され、いつも通りの動きができなくなり、ミスが起こるというメカニズムが働くのです。

それじゃあ、身体が覚えるまで練習をすればいいじゃないかと思われるかもしれません。

長年練習を積み重ねてきたプロ選手ともなるとノープレッシャーではほぼ100%決められるような高い技術を持っています。しかし、試合のなかでは決定的なシュートを外す場面をよく見かけます。

これにはイップスという現象が関係している場合もあります。ゴルフではおなじみですが、最終ホールでこのパットが決まると優勝というようなプレッシャーの下で普段、100%決められるようなパットをあたかも素人が打っているかのように身体が言うことを聞かなくなり、外してしまうという現象です。

これは、練習をしてきた過程のどこかで、ミスをすることと緊張することがひとつの習慣として結びついてしまったことが原因です。

厳しい練習を経て高い技術を身につけてプロとして活躍している人においても、過去のどこかの時点でこのような習慣を身に付けてしまっている場合、同じような緊張感を伴う状況が再現された場合、必ず、その習慣が現れてミスが起こってしまいます。

※ 習慣とは無意識でも自動的にその動きができるということなので、良い動作が習慣になっていればいいのですが、悪い動作が習慣になっていると問題です。習慣はどれだけ避けようと思っても、トリガーとなる刺激がきたら必ず発動されてしまうからです。

それでは高いプレッシャー下でも持っている技術を発揮するためにはどのような練習をすればよいでしょうか?

1つめは、そもそも悪い習慣をつけないように成長していけばいいという考え方です。おそらく、メッシやC・ロナウドなど超一流の選手達はそのように成長していったものと思われます。

2つめは、高いプレッシャーのかかる状況下で練習を行い、その中で成功体験を積んでいくことです。コーチが今1−1だから、この1点を決めれば決勝トーナメントに進めるぞというような状況を設定して練習することがあると思います。選手のみなさんとしてはどれだけ本気でその状況を再現できるかということと、そこで成功することが大事になってきます。ただし、未知の状況を再現して体験するのは難しいという欠点があります。

3つめは、ミスが起こる瞬間に自分に何が起こっているかについて自覚すること。習慣は無意識の状態だと自動的に発動されるので、そこに意識的になることで、違うプレーを選択することができるようになります。これがアレクサンダー・テクニークでやっていることです。

サッカーの場合、外的な情報がとても多く、常に動いているため、プレー中に自分の動きにも注意を払うことは、最初は難しいかもしれませんが、練習していくと出来るようになります。

トップレベルの選手達を見ていると、パスやシュートのモーションに入った後からでも、新たな情報が入ったら、そこから違う選択をしているのを見かけます。

これは一旦、習慣として身に付いた良い技術が、習慣を超えて状況に応じて意識的に使いこなせるようになった状態です。ここまで自由自在になると本当に使える技術といえます。


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アレクサンダー・テクニーク教師
高椋浩史(たかむくこうじ)

2001年から2年間、青年海外協力隊員としてバングラデシュでサッカーを指導。現地の人たちのしなやかなで生き生きとした身体のありかたに感銘を受ける。帰国後、アレクサンダー・テクニークの教師養成コースで学び2010年に教師認定を受ける。
現在は東京・吉祥寺のアレクサンダー・テクニーク教師FUN!で主に教えている。

連絡先 takamuku@cozyalexander.com



       

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