サッカーと心身の使い方

コーチが選手をダメにする?

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先日、ブログ「サッカーと心身の使い方〜選手編〜」でバルサの選手と日本代表の選手の練習での動きを比べてみて、コントロールする時のボールの見方によって、プレーや動きの効率性に差がでてくるという話をしました。

その中で、ボールを“見に行く”という考え方が原因の一つであり、その考え方が、頭を押し下げて自然な動きを邪魔していること。そして、それを防止する考え方を提示しました。

ブログを書いたあとも、なぜ、日本で一番上手い選手たちなのに、自然な動作を妨げるクセ(習慣)をどこで、どのようにして身につけてしまったんだろうか?ということを考えていました。

まず、思い当たったのが、成長してくる過程でコーチから「ボールをよく見てトラップしろ!」という指導を受けてきたのではないか?ということでした。

これは、少年サッカーなどの現場ではよく起こっていると思います。 とくに、素直にコーチの指示に従うような子供は影響を受けやすいです。

また、特に小学校の低学年などでは、言語の指示よりも、コーチのデモンストレーションのプレーをまねして、頭を押し下げてボールを見るという習慣を身につけていることもあります。

コーチの声かけやデモが選手に悪い習慣を身につけさせてしまう可能性があるということを聞いて、ショックを受ける指導者の方もいると思いますが、指導者は選手に対して大きな影響力を持っていることを自覚していたほうがいいと思います。

最近ではiPadなどで一流選手のプレーを見せることも可能なので、デモに自信がなければそれらを活用するのも一つの手かもしれません。

さて、次に考えたのが、しかしながら、日本代表の選手達は小さいときから各チームでエースとして活躍してきた選手達な訳だし、いちいち、「ボールをよく見てコントロールしなさい」なんて言われなくても自然にできてきたはずだなと思いました。

では、どこでそのクセを身につけたんだろうか?と考えていると、先日、2人の中学生に教えたときのことを思い出しました。

彼らはかなり上手な選手達で、ボールをコントロールする時に上手く周辺視野が使えていて、頭を押し下げることなくコントロールできていました。

ところが、2人がレッスンの合間に対面でパス&コントロールの練習を始めたとたんに、ボールをよく見ようとして頭を押し下げ始めたのでした。

そこで、「なにを考えてプレーしてるの?」と聞いてみると、「ボールを狙ったところにきちんと止めようと思って練習してる。」と答えました。

そこで、「次のプレーをイメージしてコントロールしてみたら。」と提案すると自然に次のプレーにつながっていくところにボールを置くことができるようになり、頭を押し下げることもなくなりました。

彼の場合は、もともとゲームの中でプレーしているときは次のプレーをイメージできているので、自然にコントロールができているのですが、「ボールをきちんと止めよう」と考えて練習を始めたとたん、ボールを良く見ようとして不自然な動きを始めたのでした。

このまま続けたら悪い習慣を身につけてしまいそうだったので、「次のプレーのイメージがないパス練習はやらない方がいいよ。」とアドバイスしました。

育成年代の現場ではよく敵がいない状況でパス&コントロールの練習をやっているなと思い当たりました。実際、私もよくやらせていました。

敵がいないパス練習の中では、コーチは「正確に」とか「ミスをしないように」といったコーチングをしがちです。

そして、選手がそれを文字通り受け取ると、「ミスをしない為に、ボールをよく見て、頭を押し下げて、身体を非効率的に使ってパスを始める」ということが起こりがちです。

また、選手の頭の中で行われているプロセスが次のプレーをイメージするという“目的”から逆算されている場合は自然な動作が現れやすいのですが、「ボールを見て→この位置に止めて→相手を見て→次のプレーを選択し→ボールを見て→蹴る」という考え方のプロセスで行われていると、不自然な動作を習得しがちです。

解決策としてはゲーム形式の練習を増やすということがひとつは考えられます。
他にも選手の動きをみて、彼らがどのような考え方でプレーしているのかを気にしてコーチングすると質の高い練習になると思います。

日本代表の選手が“頭を押し下げて見る”というクセを身につけた理由について推測してみましたが、クセを身につける理由は一人一人違うので、もっと適当な原因があるかもしれません。

読んでくださっている方で「こういう指導がこのような悪い習慣を身につけさせてしまうのでは?」という例を思いついた方はぜひ教えてください。

指導者であれば練習で良い習慣を身につけさせるということは常日頃考えていると思います。

それに加え、自分の指導で気づかないうちに悪い習慣を身につけさせていないかということも気にしてみると指導のレベルがアップすると思います。









追記

上の記事を書いた後に思いついたのですが、他にもボールを直接視でプレーする習慣を身につけてしまう原因としては、でこぼこのグラウンドでプレーする機会が多いということもあると思います。最近は人工芝のグラウンドなども増えてきたのでこれから育ってくる世代の選手がどのようなプレーをするのか注目していきたいと思います。

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アレクサンダー・テクニーク教師
高椋浩史(たかむくこうじ)

2001年から2年間、青年海外協力隊員としてバングラデシュでサッカーを指導。現地の人たちのしなやかなで生き生きとした身体のありかたに感銘を受ける。帰国後、アレクサンダー・テクニークの教師養成コースで学び2010年に教師認定を受ける。
現在は東京・吉祥寺のアレクサンダー・テクニーク教師FUN!で主に教えている。

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