2009年06月17日
ガラスの天才・尾形佳紀
2年近いブランクを経て、彼が帰ってくる。 その名は尾形佳紀、30歳。 度重なる大怪我から何度も這い上がってきた、ガラスの天才。 その全国デビューはまさに鮮烈のひと言だった。 2005年の春。鯉の新しい斬り込み隊長として遊撃の定位置を奪取すると、天才的(ある意味悪魔的)としか形容のしようがない打撃と、「これぞカープ野球」を象徴するかのような活きのいい走塁。粗すぎる守備など、まるで気にならない。それほどインパクトの強い打撃、走塁。 前年度にブレイクした赤ゴジラ・嶋、過去2年の不振を吹き飛ばすかのように開幕から本塁打を量産していく新井とともに、 今年こそ、今年こそ僕らのカープは上位チームにひと泡吹かせてくれる。 そんな希望を、久々に僕らファンに抱かせてくれる選手の登場だった。 紛れもない天才。その才能の煌めきは、いつしか僕らファンの間に 「尾形は天才じゃ。間違いなく前田を超えていく選手じゃ」 という定評を、当たり前のように植え付けていった。 しかし・・・・・初夏を目前に控えた頃、その衝撃は走った。 何ということか。プロ入り前にも再三の故障を繰り返していた古傷の右膝前十字靱帯を再び断裂させてしまう。何と、都合3度目の同箇所断裂。 皮肉にも、こんな事で前田を超えてしまった。 当時、全治には約1年の時間を要するといわれた。いや、本当にプロ野球選手として再生出来るのか。それすらおぼつかない。それほどの大怪我だった。 この時の衝撃と落胆は今でも忘れられないし、実際に彼を失ったチームは、このシーズン最下位に沈むこととなった。それまで懸命に5割の壁と戦っていたカープは、彼の離脱とともに糸の切れた凧となり負け続けた。屈辱の最下位。 黒田の最多勝も新井の本塁打王も、最下位という現実の前にはただただ虚しいばかりであった。 明けて2006年。監督の代わった後も、カープファンはガラスの天才の復帰を待ち続けた。 しかし、待てども待てどもお呼びはかからない。やはり、終わってしまったのか。尾形佳紀の野球人生は。 しかし・・・あまりにも惜しい。カープファンは声を絞り出した。 「このまま終わってくれるな。お願いだから。お願いだから戻ってこい、佳紀っ・・・・・」 そんな風に思っていたからこそ、翌年のオープン戦で、センターでキャッチボールをしている彼の姿を見つけただけで、僕らはもう、言いようのない複雑な感情に包まれた。 もちろん嬉しい。嬉しいが、本当に、本当に大丈夫なのか。 嬉しいが、しかし心配。そんな感情。 このシーズンのカープは、5月までは粘り強く戦いCS圏内につけるが、交流戦で最下位に沈むとそこから盛り返せず低迷。夏には最下位争いに吸収されていた。 そして尾形もまた、1軍と2軍の間を行ったり来たり。故障は克服したものの、苦しいシーズンを送っていた。 この苦しいシーズンに、現時点まででは最後となる尾形佳紀のハイライトを、僕らは見ることになった。 8月24日の巨人戦。 代打で登場した尾形は、右中間スタンドにサヨナラ本塁打を放った。 お立ち台で、尾形は涙で声を詰まらせた。 当たり前だ。どれだけ彼が苦しんだことだろうか。どれだけファンが待ちわびたことだろうか。 スタンドのファンもみんな泣いた。 仕事中に速報メールを見た僕も絶叫し、懸命に涙をこらえた。 尾形は復活した。誰もがそう快哉を叫んだ夜だった。 しかし、翌2008年。 新井の(意味不明な)涙の会見により空いた三塁のポジションをシーボル、廣瀬、喜田剛らと争うはずだったシーズンは、蓋を開けてみれば一軍出場なし。僕らと同じ「アキナガ世代」(←勝手に命名)の彼も、夏には30歳となった。 カープファンもさすがに確信したに違いない。いよいよもって尾形も崖っぷちに追い込まれたと。 そして今季。貧打に苦しみながらも健闘を続けるカープ。 打線のてこ入れが急務なこの時期に、こちらも寝耳に水の突然の昇格の知らせがやってきた。 左打ちの外野手がだぶついているこの状況での、まさかの昇格である。 監督さんの真意など知る由もないが、もうとにかく必死でやって欲しい。本人も自覚しているようで、「怪我をしてもいい。それくらいの気持ちで臨む」とのコメント。正直、全面的には賛同しかねるが、しかしもうそれしかないだろう。 どうせ終わるならグラウンドの上で終わりたいのだろう。 しかし、終わって欲しくなどない。だから、僕はあえて、この後の彼のプレー、一挙手一投足を目に焼き付けることはしない。終わられてたまるか!冗談じゃない。 絶対に結果を残してくれ!頑張れ、尾形佳紀! お前なら出来る!絶対に出来る! どれだけ愚かだと言われようと、カープファンはいまだに、あの頃の彼の輝きを、忘れられないでいるのだ。
posted by 副会長K |01:35 |
副会長Kコラム |
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ガラスの天才・尾形佳紀
コメント投稿者ID :
ここまでの尾形さんの挫折を考えたら、応援せずにはいられません。頑張って!尾形さん!
posted by み~こ | 2009-06-17 03:47
ガラスの天才・尾形佳紀
コメント投稿者ID :
もう10数年前になりますが、日大藤沢高校で2年生ながら1番を打っていた俊足好打の遊撃手が尾形佳紀選手。強豪ひしめく神奈川県内でダントツの素質を持ったナンバー1野手がまさに彼でした。
そして大学⇒社会人を経て大いに期待されてプロ入り。入団当初こそ期待に違わず・・・と思っていたらあの大ケガ。
彼自身が一番くやしいでしょうね。
だからこそ 監督の真意がどうのこうのなんて関係なく、もう一度あの輝く姿を見たいものです。
「今度こそ掴め!!尾形!」
posted by ハマっ子 | 2009-06-17 12:33
ガラスの天才・尾形佳紀
コメント投稿者ID :
管理人さんの考え方に全面的に賛同するので、滅多にコメしない私がコメさせていただきます。
もっとも、尾形を本当に応援していたら、誰もが同じような考え方になるのでしょうね。
ヒットを数本打つことで、彼の「終わってもいい」という思いが変わっていくことを期待します。もっと欲が出てくることを願っています。
posted by 全面的に同意 | 2009-06-17 19:12
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