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コラム「錦織のグランドスラム決勝進出を2年前に予言していた松岡修造氏」Text 矢内由美子

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矢内由美子=文

■圭を始めて見たとき…まさに衝撃的でした

全米オープンテニス男子シングルスで、世界ランク8位の錦織圭(日清食品)が日本選手として初めて決勝の舞台に立つという快挙を成し遂げた。

日本時間9月9日早朝に行なわれた同12位のマリン・チリッチ(25歳、クロアチア)との決勝戦では3-6、3-6、3-6のストレート負けを喫したが、2週間にわたる快進撃は日本中を熱狂させたのはもちろんのこと、世界中が「24歳の小柄な日本人」の活躍に注目した。



「夢を見ているようだ」「こんな日が来るとは」という驚嘆の声が数多く聞こえてきた中、すでに2年前から錦織のグランドスラム決勝進出を“予言”していた人物がいる。1995年、グランドスラムのひとつであるウインブルドン選手権でベスト8に入るという革命的な功績を残し、2012年から日本テニス協会強化副本部長に就いている松岡修造氏だ。

同年11月、日本スポーツプレス協会機関誌「Extreme PRESS」に掲載するためのインタビューを行った際のことだった。松岡氏は錦織のことになると称賛の言葉が泉のように沸き上がり、時間を忘れるほどに多くの話をしてくれた。 「僕が(錦織)圭を最初に見たのは彼が11歳のとき。まさに衝撃的でした。テニスに対しての感覚、取り組み方、ゲームのプランニングや判断が素晴らしく、あれほどの天才とはもう一生出会えないと思っています。世界トッププレーヤーのノバク・ジョコビッチ(セルビア)でさえ『あのセンスがうらやましい』と言います。僕は、テニスの四大大会すべてで優勝経験のあるラファエル・ナダル(スペイン)より圭の方がセンスがあると思っています」(Extreme PRESS Vol.7 2013 Winterより/以下、松岡氏のコメントはすべて同誌より)

■テニスの才能なら世界一

松岡氏が錦織と出会ったのは、自身が現役を引退したあとに立ち上げたジュニア育成プログラム『修造チャレンジ』の場だった。熱血漢の松岡氏は錦織が涙を流すほど厳しい指導をしながら、とてつもない才能との出会いがうれしく、心の中では躍るような気持ちだったという。

松岡氏はさらに続けた。

「僕が第三者的に錦織圭選手について話をするのなら、確実にグランドスラムで優勝できる選手だと思っています。錦織選手自身も世界1位になりたいと言っています。だから、道は険しいですが後は本人次第。ただ、世界トップレベルの選手たちのメンタルと体力は半端ありません。その意味で、圭はテニスの才能に関しては世界一のものを持っているけど、体力やメンタルには課題があります」

■「おめでとうじゃないです」

2年前はロジャー・フェデラー(スイス、33歳)やナダル(28歳)がトップに君臨しており、そこにジョコビッチ(27歳)やアンディ・マレー(英国、27歳)が割って入ろうという時期だった。しかし、松岡氏は「あと1、2年ですよ。フェデラーやナダルの次のグループに、圭は必ず入ってきます」と断言していた。

そこまできっぱり言えたのはなぜか。当時は錦織が全豪オープンで自身初のベスト8入りを果たした時期。松岡氏は大躍進した錦織に、「これはおめでとうと言っていいの?」と訊いたという。その返答は「おめでとうじゃないです」

「僕だったら泣いて喜ぶベスト8ですよ。でも彼は始まりだというとらえ方をしている。そういう選手なんです」。松岡氏は口調をさらに熱くさせながら、続けた。「世界ランク1位になるのは難しいと思いますが、グランドスラム優勝は1、2年で達成しなければいけないぐらいだと僕は思っています」

四大大会決勝戦への初挑戦では跳ね返された錦織だが、頂点を目指す道はまだ始まったばかり。次のチャンスは来年1月、オーストラリアのメルボルンで行われる全豪オープンだ。22歳でグランドスラム初のベスト8に入った12年1月から3年。地力を確実に伸ばした「世界の錦織」の挑戦から目が離せない。

Extreme PRESS Vol.7 Winter を見る

〈著者紹介〉 矢内由美子(やないゆみこ)/ライター 北海道生まれ。スポーツニッポン新聞社を経て06年からフリーランス。新聞社時代は主にテニス、モータースポーツ、五輪、サッカーなどを担当。現在は主にサッカー(Jリーグ浦和レッズ「REDS TOMORROW」編集長、日本代表)や五輪種目(体操、スピードスケート)を取材。14年は2月にソチ五輪、6月にサッカーワールドカップを取材。ヤフー!個人 http://bylines.news.yahoo.co.jp/yanaiyumiko/

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