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コラム「アジアカップ優勝は『目標』ではなく『ノルマ』」text 飯尾篤史

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飯尾篤史=文

■代表目線ならワールドカップより面白い

アジアの代表チームナンバーワンを決めるアジアカップが今月9日に開幕する。  アジアカップは今大会で16回目を迎えるが、その歴史において、最も優勝している国はどこか?  今大会で史上初となる2度目の連覇を狙っている国はどこか?  英国のブックメーカーが優勝国予想のオッズを最も低く設定している国はどこか?  その答えは、すべて日本だ。



 アジアカップでは、ワールドカップではお目に掛かれないようなお粗末なミスジャッジが平気で起こる。 PK戦の最中にエンドが変更されたりもする。 ジャッジに不満を持った選手たちがレフェリーに暴行を働いたこともあった。  それでも最後は日本が勝つ。それがアジアカップだ。  ここ6大会中4大会で優勝しているのだから、そう言い切ってしまってもいいはずだ。  ときに圧倒的な強さでゴールの山を築き、ときに後半のアディショナルタイムまで負けていたのに、土俵際のうっちゃりで勝利を強引にもぎ取ってしまう。  一戦、一戦がドラマのようで、大会を勝ち進むごとにチームが逞しくなっていくのが手に取るように分かる。 だから、アジアカップは面白い。 日本代表目線で見れば、ワールドカップよりも面白い。 今大会の目標も、優勝である。いや、ノルマに設定してもいいぐらいだ。  勝負事は、最後まで何が起こるか分からない。しかも、サッカーは数あるボールゲームのなかで最も番狂わせが起きやすいとも言われている。  それでも優勝をノルマとして課したい。優勝しなければならない理由があるのだ。

■優勝すべき理由は指揮官のポリシーとベテラン復活

 そのひとつは、アギーレ監督が徹底的に勝負にこだわるタイプの監督だという点である。 もちろん、勝負にこだわらない監督など存在しない。ザッケローニ前監督も勝負にこだわっていた。だからこそ、4年前にカタールで行なわれた前回大会では接戦をモノにしていって、アジアの頂点に立つことができた。 しかし、その一方で、自分たちが主導権を握って攻撃的にゲームを進めるというスタイルにもこだわっていた。それが勝利の近道だと考えていたからだったが、内容と結果、その両方にこだわり、追求してきたのが、この4年間だった。 アギーレ監督は違う。言うなれば勝利至上主義。彼自身、こう明言している。 「どういうスタイルを求めるのかと言えば、上に行けるスタイルだ。素晴らしいスタイルだと言われても、(FIFA)ランキングが44位というなら、あまり良いとは言われないスタイルでも20位以内に行きたい。だから、スタイルはあまり重視していない」  序盤の先制点を守り抜こうが、終了間際に決勝点をかすめ取ろうが、どんなに泥臭くても、どんなに手堅くても勝利をもぎ取る。それがアギーレ監督の真骨頂だ。その手腕をアジアカップでぜひとも証明してほしい。  もうひとつは、ブラジル・ワールドカップに出場したベテランをチームに軒並み復帰させたことだ。 ケガのため、しばらく外れていた30歳の長谷部誠を呼び戻し、34歳の遠藤保仁と31歳の今野泰幸もメンバーに迎え入れた。 その事自体には不満はないし、問題もない。 ワールドカップが終わってからわずか半年後に迎えるアジアカップに向けて、メンバーを刷新してチームを一から作り直し、なおかつ優勝も狙うというのは、簡単なことではないからだ。 今大会に臨む日本代表の平均年齢は約26.6歳。前回大会のときよりも2歳上回っている。前回大会で優勝を経験し、ワールドカップにも2度、3度出場している選手たちが何人もいるベテラン集団――。この顔ぶれで負けるわけにはいかない。ライバルたちに違いを見せつけてくれなければ困るのだ。

■ラッキーボーイの出現に期待

 日本はパレスチナ、ヨルダン、イラクと同じグループDに組み込まれている。  その中でパレスチナの力が劣るのは確かだが、ヨルダンとイラクは侮れない。 ヨルダンは、ブラジル・ワールドカップの予選でウルグアイとの大陸間プレーオフに進出し、1分け1敗で本大会出場はならなかったが、躍進著しい新興勢力だ。 アジア最終予選では日本も1-2で敗れ、苦杯をなめさせられた。初戦で顔を合わせた4年前の前回大会で大苦戦して、終了間際の吉田麻也のゴールで辛くも引き分けに持ち込んだのは記憶に新しい。 イラクは日本が4位に終わった2007年大会のアジアチャンピオンである。ブラジル・ワールドカップのアジア最終予選でも対戦し、日本がホーム&アウェーともに勝ったが、いずれも1-0の辛勝だった。若手の育成に成功していることでも知られ、日本は近年、U-19アジア選手権、U-22アジア選手権でイラクに屈しているため、リベンジしたい。  グループステージを突破すれば、準々決勝の相手は、イラン、UAE、カタール、バーレーンという中東勢で固められたグループCを勝ち抜いたチームになる。  同じく優勝候補に挙げられる2チーム、永遠のライバル韓国、開催国のオーストラリアと準決勝まで当たらない巡り合わせの良さも、日本の優勝を後押してくれる。  もっとも、4回も優勝していると、どうにも欲深くなってくる。  欲を言えば、6月から始まるロシア・ワールドカップのアジア予選を睨んで、ブラジル組以外の選手が出場機会を掴んで、経験と自信を持ち帰って来てほしい。 武藤嘉紀や小林悠、柴崎岳といったあたりが今大会のラッキーボーイ的存在になってくれれば、5度目の優勝、2度目の連覇の可能性もグッと高まる。

 <著者紹介> 飯尾篤史(いいおあつし)/ライター 東京都出身。サッカー専門誌の記者を経て、12年からフリーランスに転身。専門誌時代には日本代表、FC東京、川崎、G大阪などの担当を歴任。南アフリカワールドカップやカタールアジアカップを現地で取材した。現在は、専門誌、総合スポーツ誌などに寄稿。ブラジルワールドカップも現地取材した。

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