2009年03月05日

WBCへの温度差

いよいよWBC開幕が近づいてきました。
アメリカ中西部では午前4時半プレイボール。
さてどうしましょう・・・。(苦笑)

日本では日々盛り上がりを見せており、チケットの売り行きも好調みたいですね。この第二回World Baseball Classicは前回よりもスポンサーの売り上げ・放送機会も増えており、利益は前回大会の50パーセント増しが見込めるようです。2006年大会に比べ経済状況が悪化しているためWBCに対するスポンサーの温度差というのも興味深いです。

Sports Business Journalからの記事を掲載させてもらいます。

A-B, MasterCard Among Those Dropping WBC Sponsorships

WBC touts regional sponsors for 2009 event 

そして開幕が近づくにつれて気になるのが次々に出てくる辞退者。日本代表はほぼベストメンバーに近いものが組めている(怪我人・メジャールーキーを除き)のではないかと思います。この大会に向けては前向きの選手が多かったですし、自ら辞退を表明した選手は少なかったかと思います。

それに比べるとやはり温度差を感じてしまう他の強豪国。

国の代表としてプレイするのは誇りだが不安を残し辞退した選手が多数います。

それらの主な原因はこちらではないかと思います。仕事上全米のメジャーに関わる記事を日々読んでおり彼らのコメントから検証します。

① 怪我の不安

第一はこれでしょう。昨年DL入りをある一定の期間した選手はチームの許可も必要なのですが、チーム側が了承していてもやはり不安を残し辞退した選手も多いですね。

② 自チームでのポジション争い

メジャーリーグは大きなビジネスでありこのオフシーズンも多数の選手がチームを変えました。そのため新天地でのポジション争いや自分をアピールする場がスプリング・トレーニングです。ですがWBCに参加する事はこのキャンプを数週間離れる事になってしまいます。メジャーロスターに残る競争を繰り広げている選手や先発ローテ・ブルペンの一員を争っている選手はチーム側が影響はないと言ってもチームを離れてしまうのは不安でしょう。

逆にこの世界大会でアピールして、自チームでポジションを勝ち取ろうという選手も中にはいるそうですが、少数派に入るでしょう。

③ 愛国心の薄さ

日本人を始めアジア各国は国を代表する思いというのが他国より強いような気がします。けれどその気持ちが他国にあるかと言えば疑問が残ります。他の国ではある選手のコメントで「自分にその国の血が流れている自覚がなかったが、チーム側が調べてプレイしないかと連絡をくれた」というのもあり少々驚きました。

プロ生活はずっとアメリカだったり、小さい頃にアメリカへ移ったという選手も多くそうなるとなかなか自分の国のためという自覚は生まれないのではと思います。

④ 全員野球の意識

これはおそらく愛国心とも繋がりますが、辞退した選手達の中にはスタメンが確約されない・ローテーションの一角ではなくロングリリーフとして依頼され断りを入れた選手もいます。メジャーリーガーというプライドもあるでしょうし、2009シーズンに向けての大事なときに投げる必要のあるイニング数が約束されなかったり、実戦形式での打数が見込めないとなるとシーズンに影響を及ぼしてしまう可能性もあります。日本では全員野球・チームワークの大切さが評価されますが、あまり他ではその大切さに短期間の大会で即席チームの一員として感じるのは難しいでしょう。そのため多くの国は豪華メンバーがスタメンに揃うもののそれに続く層が薄かったりします。

⑤ Routine (日常の決まり)を崩したくない

おそらくこれが一番強い理由ではないかと思います。スポーツ選手というのは一般の方よりも強く日常の習慣というのを大切にします。試合当日は何時に起きて、何を食べ、どの道を通ってスタジアムへ向かいというのを同じように繰り返します。そして選手によってはマウンドでの仕草・バッターボックスでの準備が毎回すかさず同じ人もいます。そしてヒットを打ったときに使っていたグローブ・バットをお守りのように次も使う。そして打てなくなったら違うのをという事をする人もいるでしょう。

みなさんも無意識にやっているのではないでしょうか?
私も良い仕事をした時に来たシャツを忘れられず大切な日には着てしまったり、テストで良い点を取ったときに使ったシャーペンを次にも使用したりします。

おそらくアスリートは我々の何倍もその拘りや習慣を大切にします。

だから毎年同じ時期にキャンプインして、同じ調整方法で開幕を何シーズンも迎えている選手からするとそれを完全に壊し真剣勝負を3月の始めから開始するのには大きな不安を抱える選手が多いかと思います。メジャーのチーム単位でさえも今年はWBCのためキャンプが長いので、主力はいつも通りの時期から実践に交えるようにしています。ですので各チームでもまだオープン戦に登板していないエースがいるのはそれが主な理由です。

前回の大会でもこのルーティンを崩してしまったためかWBCに参加をした選手、主に先発陣はシーズンにそのまま影響してしまった例も少なくありません。この大会だけでは2009年シーズンを終えた段階の参加者の数字により、次回大会に向けての気持ちというのも変わってくるかもしれませんね。

ある野球関係者のコメントで「アメリカで3月に野球に興味を持つ人は少ないだろう、けれど世界では違うみたいだね」と言うのが記載されていました。この言葉からも温度差を感じてしまいますが、実際にアメリカに身を置いている私としてもそれは間違っていないかと思います。正直WBCのニュース報道はほとんどないですし、誰が辞退したというニュースが流れているばかりです。

そして球場の大きさも影響しているのでしょうが、昨日行われたアメリカ代表とニューヨーク・ヤンキースの一戦に駆けつけた観客はわずか8822人です。日本代表はそれに比べ合宿から人々が押し寄せ、行われた強化試合も完売・満員という報道が多く流れていました。この盛り上がりを見ても温度差を感じ取って頂けるでしょうか。

このWBCという大会はMLBが世界大会を通じて今後どれだけ世界に進出していけるかという目安も含まれているかと思います。もちろんインディアンズの各選手・そして日本代表に注目していきますが、裏で行われている様々なビジネスシーンのニュースもチェックして楽しんでいきたいと思います。大会が終わる頃にはアメリカも少しは盛り上がりが伝染してれば良いですね。

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posted by airyo3 |04:13 | ベースボール | コメント(9) | トラックバック(3)
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Re:WBCへの温度差

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面白い考察ですね。ただ愛国心はむしろ米国や中南米の方があると思います。それにも関わらずメジャーリーグで活躍しているスターがいまいち燃えないのは自分が世界で唯一のハイレベルのリーグで戦っている自負があるからでWBCはエキシビションマッチという印象があるのでは?
中南米の方は一般的に祖国の血をすごく意識してます。Aロッドも前回の米国代表とはまったく異なる高ぶりを感じると言っています。
日本の選手は愛国心というより野球自体を盛り上げる気持ちが強い気がしてます。

posted by たか | 2009-03-05 08:05

WBCへの温度差

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温度差を縮めるには、全て(時期、参加資格、資金、地域区分等)一から考え直さないと無理です。今のままでは、いつまでもMLBの余興です。

posted by ume | 2009-03-05 09:33

Re: WBCへの温度差

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>たかさん

何かを犠牲にして国のために戦うという愛国心に関しては日本などのアジア国の方が強いかと思います。アメリカで暮らす経験からこちらは愛国心は確かに強いですが、表面上というのが多いような気がします。無意識な愛国心というのが日々国歌や国旗を見ることによって生まれている気がします。

たかさんのおっしゃる通りメジャーリーグが世界一の場だと自負している選手も多いのも大きな理由であると思います。Aロッドもそうですが多くの選手が国のためというよりは親・家族に国を背負った姿を見せたいという選手も多いみたいですね。

posted by airyo3 | 2009-03-05 11:57

Re: WBCへの温度差

コメント投稿者ID :

>Umeさん

全てを考え直すと言うよりもこれまでの経験や土台を下に対応していくというのが必要でしょう。時期や開催地については何度も話合いが行われているそうですが、やはり野球シーズンは長いという事もありベストな時期というのが一番難しそうですね。

2013年大会はチーム数を増やし、ドミニカでの大会開催も考慮されてるようでまだまだ第二回という歴史の浅さもあるので、歴史が重なることによって大会に対する伝統というのが生まれていけば良いですね。そうすれば選手の意気込みも変わってくるでしょう。

posted by airyo3 | 2009-03-05 12:01

WBCへの温度差

コメント投稿者ID :

日本よりアメリカのほうが国歌も星条旗も見ているはずですが・・・  愛国心云々ではなく、単にWBCが全てを捧げるに値する大会だという認識がないだけではないですか?WBCで優勝しても日本が世界一だなんて思ってる野球ファンは日本のおめでたい人たちだけですし。

サッカーのワールドカップのように、全てを犠牲にしても勝つんだ、という大会になってくれればいいですね!サッカーではアメリカ代表はアメリカのために所属クラブでのことを犠牲にしている選手が結構いますしね。

でもそのためには、IBAFがWBCをMBLから取り上げて、さらにはIBAFを中心とした組織の整備をして(MLBに頭が上がらないではどうしようもないし・・・)ってしていかないと・・・まあ無理でしょうね^^;

posted by ゆう | 2009-03-06 18:25

WBCへの温度差

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なんともまあ大会主催者、日本ラウンドのスポンサーが聞いたら喜ぶ・・・もしかしてその人たちに頼まれて書いたのって感じですが。

ただそんなに長く書かなくても、答えは簡単。


「今のこの大会の価値ってそんなもの。」



過剰な煽りに騙されてる人たちは世界には少ないってことですよ。。。

posted by さか | 2009-03-06 22:44

Re: WBCへの温度差

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>ゆうさん

ゆうさんの言うとおり全てを犠牲にしてWBCにプレイするほどまだ大会が信頼性を得ていないのは確かだと思います。けれど忘れてはならないのがまだ第二回大会であって歴史が浅いという事です。ワールドカップでさえ最初から今のような価値があったのではなく、長い歴史や伝統を経て今があると思いますから。

それにアメリカのメジャーリーグサッカーが世界で一番のリーグとは言い難い事から出来ている部分もあります。おそらくリーグで活躍するより代表で名を挙げることの方が選手も価値があると思っているのではないでしょうか。それと同じことが野球の場合は言えないと思います。

そうですね、MLB側ではなくIBAFが仕切っていく大会にして行けば変わっていくかもしれませんが世界中のスター選手はすでにMLBに所属していますし、そのための努力をMLBは続けてきましたので急に変わるのは難しいでしょうね。

>さかさん

大丈夫ですよ、一個人で書いてあるブログであり私はWBCには関わっていませんので。私はあくまでもビジネスの視点からこの大会を見ようと思っていますし、その可能性は無限にあると思います。現にチケット売り上げやスポンサー・放映権などは前回大会を上回っています。お金を作り出すことが出来るという事はこの大会に可能性を感じているところはそれだけあるという事です。それに何度も言うようですがまだ第二回目の大会です。そう簡単に世界中の人が注目するような大会を作り上げるのは容易な事ではありません。

ですので今はさかさんの言うように
「今のこの大会の価値ってそんなもの。」かもしれませんが毎回その大会を振り返って、改良していき歴史を作っていきいずれは誰もが「WBCが待ち遠しいな」と世界中で言われるような大会になれば良いですね。

posted by airyo3 | 2009-03-07 00:12

WBCへの温度差

コメント投稿者ID :

ご無沙汰しております。
一人のBaseball好きとして、大変関心を持って読ませて
いただきました。

本文やコメントにもありますが、自分も以下のように
考えています。
①まだ第二回目だということ
(課題はいくつか出てくると思いますが、都度つぶしていく
以外にはない。まずは「やってみる」ことが重要。)
②国によって「温度差」があること
(公式戦に優先順位を置く国、チーム、選手が出てくること
もある程度は予想できたことではないでしょうか。
これを解消するには、WBCのブランドを上げていくことが
大きなアクション項目の1つではないかと思います。)
③とはいっても、ビジネス的に見ても、大きな可能性を
秘めていること。その分岐点が今回、そして次回大会
ではないかと個人的には勝手に思っています。)

米国(MLB)も含めて、今後国際化は避けられない方向
にあると思っています。競技面でもビジネス面でもです。
その意味でWBCを継続していくこと、成功させることは
非常に大きな意味を持っていると思います。
(「アジアの中での日本はどうしていくべきか」について
個人的にはリマインドされます。)

posted by Baseball all of my life | 2009-03-07 01:48

Re: WBCへの温度差

コメント投稿者ID :

>Baseball all of my lifeさん

お久しぶりです、コメントありがとうございます。

私と同じ意見が多く、自分の考えを簡潔にまとめたものと似たような形ですね。第二回大会であるという要素は忘れてはならない部分だと思います。まだおそらく実験という要素も多く、この経済状況の中多くのビジネスが拡大を控え「今」というのを大切にしている中、大きなリスクを覆い明らかに将来へのビジョンを見据えて取り掛かっていますからね。

継続、そして常に前回大会よりフィールド上・そしてフィールド外の活動を向上していけるように心がけていくことが今後のWBCという大会の信頼性を生み出すきっかけに繋がっていくことでしょう。

posted by airyo3 | 2009-03-07 20:07

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